住まいを売る際に必要な心構えと準備 ~物件見学に対応するための備え・前編~

中古住宅の購入を検討している人は、複数の物件を見学したうえで候補を絞っていきます。本来は物件の価値や魅力と関係ない部分でも、ひとたび悪い印象を与えると、候補から外されてしまいます。そこで、物件見学に備えて売主が済ませておくべき準備について、2回に分けてご紹介します。
※記事内に掲載している写真は、すべてイメージです。

物件見学に対応するための

荷物は極力減らし、きれいに清掃しておく

室内の清掃イメージ

壁や床の状態などは、モノが多いほどチェックできなくなりますから、購入を検討している人にとってはマイナスです。また、雑然としている住まいは、それだけで印象が悪くなってしまうものです。いずれは新居に移るために必要になりますから、売却を決意した段階で、荷物はできるだけ減らし、きれいに清掃しておきましょう。スキー道具など限られた期間しか使わないものの、捨てるわけにはいかないというモノは、実家やトランクルームに預けておくといいでしょう。
なお、せっかく出向いたからにはすべてを見たいというのが見学者の心理です。「ここだけは見せたくない」という場所は、なるべくつくらないようにしてください。
また、モノを減らして大掃除をすると、自身でも気づいていなかったキズや破損を見つけることもあります。場所と内容をリストにしておき、修繕したうえで売却するのか、不具合があることを理解してもらったうえで売却するのか、方針を固めておきましょう。判断が難しい場合は、仲介会社の担当に相談してみるのも手です。

できるだけ明るくして、見学前には十分に換気を

室内廊下イメージ

屋内は、明るい状態で見るほうが各スペースを広く感じられるため、好印象を得やすくなります。加えて、暗くてよく見えないという場所が減るため、見学者に安心感を与えることにもつながります。照明器具の蛍光管やランプが切れていたり暗くなったりしている場合は、新品に交換しておくといいでしょう。さらに、見学者を迎え入れる際には、すべての照明器具を点灯させる、雨戸やカーテンを開けておくなど、できるだけ明るい状態にしておきましょう。
なお、住まいには、人が暮らしているうちに独特のニオイがつくものです。特に、家族に喫煙者がいる場合やペットを飼っている場合は要注意です。トイレや浴室、キッチンなど、ニオイや湿気がこもりやすい箇所はもちろん、各居室や廊下なども含め、見学日の数日前から屋内の空気の入れ替えや、消臭スプレーの吹き付けなどを励行しておきましょう。なお、香りには好みがあるため、芳香剤より消臭剤を使うほうが無難です。

開閉部は事前にチェック

室内扉イメージ

中古住宅のチェック法などが広く認知されてきているためか、玄関ドアやサッシ、収納扉などの開閉部は、何度も開け閉めして不具合がないか確認する見学者が多くなっています。事前に、自身でチェックしておきましょう。開閉してみて重く感じられる、音が出るという箇所がある場合は、市販の潤滑剤を吹き付けたり、敷居用のテープを張ったりして解消しておきましょう。
なお、引き戸や扉がピッタリ閉まらないといった場合は、枠を交換しなければならないこともあります。直してから売却するのか、現状のままで売却するのかを判断するためにも、工務店や施工会社などに見てもらい、見積もりを取っておくといいでしょう。

夏場や冬場は空調にも配慮を

空調設備イメージ

屋内が快適な室温に保たれているかどうかも、見学者の印象を左右します。じっくり見学できる、空調設備の効き具合を確かめられるという点でも効果的なので、空調器具で調整しておきましょう。
「高層階で風の抜けがいい」「日当たりがいい」などの理由で普段は空調を使わないという人も少なくありませんが、感覚は人によって異なるものです。特に見学時には、空気の流れがよくない箇所も見るので、暑さや寒さを強く感じます。夏場や冬場、湿気の多い時期などは、約束した時間の少し前からエアコンや暖房器具を動かして、室温や湿度を整えておくといいでしょう。

見学時の立ち会いは1人で

人が住んでいる状態の物件を見学する際は、ただでさえ気後れや遠慮の気持ちが生じがちです。ましてや、同居家族が何人もいるなかでは、見学者は落ち着いて確認できません。「見たい部分はすべてチェックできた」という満足感や納得感を抱いてもらうことが大切ですから、見学時に立ち会うのは1人だけにして、他の家族は外出するのが理想的です。同じ理由で、ペットを飼っているなら見学中は連れ出すようにしましょう。
見学者を笑顔で迎え入れた後は、できるだけ自由に見てもらうことを最優先に考えましょう。案内は、付き添っている仲介会社の担当者に任せるほうが無難です。売主が付きっきりで説明すると、見学者はプレッシャーを感じてしまって、むしろ見学の邪魔になるからです。近隣の商業施設の使い勝手など、暮らすうえで役立つような情報は、書面にまとめておいて手渡すといいでしょう。なお、購入検討者が物件を見学する場合、一日に複数まわる予定にしていることが多いものです。お茶やお菓子を出すと足止めになってしまい、かえって迷惑になりかねないので、過度なもてなしは不要です。

<購入を検討している人の立場で対応を考える>

つい混同しがちですが、通常の来客と物件見学にやってくる人とでは、あるべき対応がまったく異なります。先述したとおり、見学する人の目的は、十分に物件をチェックすることにあります。自由に見てまわれるような雰囲気・状況を用意すること、求められている情報の提供を重視し、物件本来の姿を正しく把握してもらえるように心がけましょう。自身が見学する立場になって対処することが大切です。

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