2023年 中古マンションの価格乖離率&売却期間(中部圏)

東京カンテイ 中古マンションの売出・取引事例に基づく価格乖離率の最新データを公表
中部圏2023年下期の価格乖離率は-9.35%、通年で約2ポイントも拡大
売出・取引価格ともに上期に比べて4%程度下落売却期間は拡大傾向に転じ5ヵ月間に迫る

2023年 中古マンションの価格乖離率&売却期間(中部圏)

中古マンションの価格乖離率&売出→成約までの期間

中部圏における2023上期での中古マンションの一戸平均価格は、売出価格が2,640万円(前期比:+1.0%)と続伸したのに対して、取引価格は2,408万円(同-0.4%)と小幅ながら2期ぶりに下落した。また、売出・取引事例の価格乖離率※は-8.79%で、前期から1.29ポイントも拡大した。一般的な購入者が値頃な一戸建て住宅を志向しやすい土地柄や東京・大阪などのように国内外からの投資ニーズによる購入があまり盛んでないこともあり、価格自体はピークだった2021年をやや下回る水準での推移が続いている。2023年下期での中古マンションの一戸平均価格は、売出価格が2,535万円(同-4.0%)、取引価格が2,298万円(同-4.6%)と揃って下落、取引価格は6期ぶりに2,300万円を割り込んだ。一方、売出・取引事例の価格乖離率は-9.35%と大きく拡大、首都圏や近畿圏に比べても価格乖離の動きが急激に進んでいる。

中部圏 中古マンションの一戸平均価格(売出・取引)

売出→成約までの期間(売却期間)を見てみると、2023年上期には4.53ヵ月とこれまでの水準を上抜け、下期には4.92ヵ月とさらに長期化して5ヵ月間に迫っている。売却期間自体は近畿圏をやや下回っているものの、売出価格や取引価格、価格乖離率の動きを総合的に見る限りでは比較的資金に余裕がある購入層によって買い支えられているエリアや物件も少なく、全般的に軟調な市況になりつつある。

中部圏 中古マンションの価格乖離率および売却期間の推移

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売却期間の違いによる価格乖離率とそのシェア

中部圏における2023年の価格乖離率を売却期間ごとに見てみると、売却期間が1ヵ月以内での価格乖離率は-4.25%であった。不動産取引における専属専任媒介・専任媒介契約の有効期間である3ヵ月以内での平均は-6.22%となっており、売り出し開始からの3ヵ月間では最初の売出価格から6%程度値下げした金額で成約に至っていたことになる。また、売却期間が5ヵ月まで長期化すると、価格乖離率は-10%を超え始める。2022年の調査結果と比べて大半は価格乖離率が拡大しており、2ヵ月~3ヵ月でも8%台を示している。
売却期間が1ヵ月以内での事例シェアは28.0%(2022年:32.4%)で、全体の3割弱に相当するケースが売り出し開始から1ヵ月以内で成約に至っていた。また、3ヵ月以内の累計事例シェアは49.8%(同57.9%)と5割弱を占め、売り出し開始から2回目の媒介契約の有効期間が終了するまでには70.0%(同76.6%)のケースで成約に至っていた。

中部圏 売却期間別 中古マンションの価格乖離率

次に、売却期間ごとに価格乖離率のシェア構成を見てみると、売却期間が1ヵ月以内の場合に最もシェアが大きかったのは「0%(売出価格から値下げせず成約に至っているケース)」の36.5%で、次いで「-5%以内」の30.0%となっており、3年連続で「0%」が最大シェアとなった。売却期間が1ヵ月以内の場合で価格乖離率が-10%を超えるケースの合計シェアは18.7%で、他の都市圏よりも大きい。一方、売却期間が7ヵ月まで長期化した場合は「-20%超」のシェアがいずれも2割以上を占めている。

中部圏 売却期間別 価格乖離率シェア(2022年)

※中古マンションの「価格乖離率」とは

中古マンションが売りに出された際の価格(=売出価格)とその物件が成約に至った際の価格(=取引価格)の差額との比率。
 

価格乖離率 = (取引価格 - 売出価格) ÷ 売出価格 × 100%


価格乖離率が正の値となるケースはごく稀であることから、負の値となるケースのみを対象としている。また、データ抽出にあたっては、所在階数や専有面積などの情報を基に住戸の特定が可能な事例について各取引事例と当該住戸から生じた売出事例の中で最も古いもの(=最初の売出事例)を突き合わせ、売出開始から成約までに要した期間が12 ヵ月以内の組み合わせのみを対象として分析している。

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当記事出典元

当記事は株式会社東京カンテイ「カンテイアイ特集(2024年7月31日配信)」の情報を元に掲載しております。 当記事に掲載されている文書の著作権は、出典元である東京カンテイに帰属します。 掲載されている文書の全部または一部を無断で複写・複製・転記等することを禁止します。 また、当記事への直接リンクは固くお断りいたします。

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