【2014年】過去10年間の公示地価推移から読み取る今後の住宅地価動向

3月下旬に、国土交通省が2014年の公示地価を発表しました。
過去10年間の対前年変動率の軌跡を振り返りながら、今後、住宅地をとりまく市況がどのように推移していくのか、不動産アナリストに予想してもらいました。

首都圏エリア

ミニバブルがはじけた後、早いペースで回復

2006年から2008年にかけての首都圏の地価は、上昇傾向にありました。しかし、リーマン・ショックを機に2009年に急落して以降、対前年比マイナスが続いてきました。

「2006年から2008年の地価高騰の背景には、投資が急増して実勢以上の価格が付くようになったことが挙げられます。この期間が“ミニバブル期”と呼ばれる理由です。リーマン・ショックによって市場が一気に冷え込み、地価も急落したわけですが、回復は比較的早めでした。対前年比マイナスが続いたとはいえ、年々下がり幅が縮小し、2013年にはほぼ下げ止まりとなりました。地価は、下落しても自律的に回復していくという特徴があります。地価が下がれば買い手がつくようになり、買い手が増えれば価格水準も上がっていくからです。そして、2014年にはアベノミクスによる景気回復の期待感も手伝い、対前年変動率がプラスに転じたわけです」(東京カンテイ中山さん・以下同)

まちづくりの継続で2015年もさらに上昇

中山さんは、2015年までは上昇傾向が続くと予測しています。
「2020年の東京オリンピックに向けて、国や各自治体は、インフラや防災対策などの整備を進めていくからです。長期間にわたるまちづくりの継続が、高い確率で見込めるわけですね。街の快適性や安全性が高まれば、土地の価値も高まります。消費増税前の駆け込み需要なども視野に入れれば、当面は新築に対する投資も活発になるはずです。予定どおり2015年10月から10%への消費増税が実施されれば、経過措置の期限がくる2015年春以降は沈静化する可能性が高まります。中古物件の存在感が目立つようになる可能性が高いですね」

名古屋圏エリア

上昇傾向にある愛知県と、安定推移の岐阜県・三重県

名古屋圏は、愛知県が東京都と、岐阜県・三重県は埼玉県・千葉県とよく似た推移になっているのが特徴です。

「過去の経済動向を振り返ると、大企業の業績が好調だったミニバブル期以降、リーマン・ショックや東日本大震災、ユーロ危機など、世界経済に影響するようなネガティブな出来事が起きていました。しかし、近年は大きな問題はなく、むしろ円安などの影響で史上最高益を上げるなど、トヨタの業績が好調です。このため、トヨタを擁する愛知県の変動率は、2010年から年々マイナス幅が縮小し、2013年には東京都に先駆けてプラスに転じています。一方、岐阜県や三重県の変動率は、愛知県と対照的で、ミニバブル期でもプラスに転じていませんし、リーマン・ショックの影響もほとんど見られません。ここからは、両県がサテライト都市で、世界的・全国的な景気動向の影響を受けにくいことが読み取れます」

人気エリアでは動向に注意が必要

上記の傾向から、中山さんは、名古屋市内の人気の住宅地では景気の動向をよく観察しておくべきだといいます。
「今後も、名古屋市を中心に地価は上昇傾向を続ける見通しですが、住宅地のニーズは、名古屋市東部に集中しています。こうしたエリアでは、地価が急騰する可能性もあるので、推移を見ながら購入のタイミングをよく検討したほうがよさそうです。一方、名古屋市東部以外のエリアは、岐阜県や三重県も含め、あまり大きく変動することはないでしょう。逆にいえば、景気の動向や経済情勢に左右されず、自分の都合で購入のタイミングを決めても大きな問題はないはずなので、決断しやすいといえます」

関西圏エリア

大阪市の中心部が回復基調を牽引

中山さんは、大阪圏の地価推移の特徴について、東京都に見られる兆候が1年遅れで見られることにあると指摘します。

「日本を代表する企業が集積している東京都、トヨタという世界的企業を擁する愛知県は、2010年からマイナスの縮小傾向がはじまっていました。一方、関西圏でミニバブル後の下落傾向が縮小しはじめるのは、2011年からです。これは、関西圏には地域経済を牽引するような企業が少なく、リーマン・ショック後の回復にも、他のエリアより時間がかかったためです。ただし、2014年の変動率を見ると、3府県ともマイナス1%未満ですから、前年からほぼ横ばいといえます。また、大阪市の平均坪単価は、前年より上昇しています。これは、梅田北ヤードの再開発や大阪駅の改修、あべのハルカスの登場などの影響です。大規模な街づくりが市内各地で同時に発生することによって、関西圏の地価をリードしているわけです」

今後は大阪府が関西圏をリードする

中山さんは、大阪市周辺にも地価上昇の傾向が出てくる見通しだといいます。
「大阪市の中心部では、大規模開発にともなってタワーマンションの供給なども活発ですから、地価も引き続き上昇するでしょう。このような傾向は、周辺の堺市や吹田市などにも広がると思われます。ただし、兵庫県や京都府の地価上昇の動きは、大阪府に比べて鈍くなると予想されます。従来の関西圏は、大阪市・神戸市・京都市の三大都市が地価をリードしていたため、大阪府・兵庫県・京都府の変動率は似たような推移でした。しかし今後しばらくは、大阪府が、首都圏における東京都のような形で関西圏をリードするようになるでしょう」

※当記事の掲載データは、すべて国土交通省が公開している公示地価をもとに作成したものです。