実家売却検討の始めは片付けと相続登記

実家が空き家になって久しいので実家を売りたい、母だけが実家に住んでいるがそろそろ施設に入るので実家を売りたい、といった相談が筆者のもとに寄せられることが多々あります。実際に売却を進めるにあたっていくつかの課題が必ずあるわけですが、思った以上に面倒な課題は、片付けと相続登記だったということがあります。今回はこの二つの課題についてお話します。

実家売却検討の始めは片付けと相続登記


不動産売却をお考えの方には、三菱UFJ不動産販売の「無料査定」がおすすめです。物件情報を入力するだけで査定額を算出いたします。お気軽にご依頼ください!

思った以上にかかる片付けの時間とコスト

両親が住んでいた実家に荷物や家財道具が全くないということはほとんどないでしょう。ともすると、暮らしていた時のままになっているというケースも多々あります。こうした状態の住まいを売る場合、建物付きで売る場合でも、建物を解体して土地だけで売る場合でも、建物内にある荷物や家財道具は全て撤去し廃棄しなければなりません。これらを処分する作業が実はかなり大変です。

「業者に頼めばよいのではないか?」とお考えの方も多いと思います。結果的に業者に頼む方が多いのですが、思った以上に費用が掛かってしまいます。というのも、業者に撤去を依頼すると、家庭ゴミではなく産業廃棄物という取り扱いになり処分費が高くなるからです。さらに、分別作業も業者にお願いすることになるので、これも費用が高くなる原因です。

筆者の経験ですが、木造2階建て、延床面積50坪程度のやや大きめな一戸建ての解体費用の見積もりを複数社で行った結果、建物解体費は平均で200万円(税抜)、庭木や庭石の撤去、カーポート解体費用等が100万円(税抜)、室内の残置物撤去費が150万円(税抜)でした。残置物には、エアコン、洗濯機、冷蔵庫などのリサイクル家電、タンス、洋服や書籍、布団、ベッド、その他押し入れにしまい込まれた様々のものが含まれています。

時間をかけて自分で廃棄するという手もありますが、よほど時間に余裕があるか、計画的に時間をかけて対応しないと難しいと思います。また、実家を共有している場合、誰が作業するのかということで議論になったり、思い出の品は捨てたくないなど、捨てるものと残すものの判断で議論になることも多く、これも片付けが進まない原因となります。このように、室内の荷物や家財道具の処分は、売ろうと思ったときに一気に処分できるというものではありませんし、一気に処分しようとすると思いがけない費用がかかることがあるので、早い段階から家族で議論し、室内の荷物や家財道具の処分について計画的に対応したほうがよいと思います。

保有する物件・土地の定期的な資産価値の確認がポイントです。

忘れてはならない相続登記

父が他界し、実家は母が半分、残り半分を兄弟で相続したものの、相続登記をしていないというケースは多々あります。相続登記をしていないというのは、実家の登記名義人が亡くなった父のままになっているということです。実家を売却する場合には、実際に実家を承継した方の名義に登記を変更する必要があります(これを相続登記と呼んでいます)。

例えば、遺言書がない場合、相続登記には、被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍謄本、被相続人の住民票の除票、相続人全員の戸籍謄本、遺産分割協議書および相続人全員の印鑑証明書などが必要になります。これらを収集するもの大変ですが、遺産分割協議書を作成していない場合、改めて相続人全員で議論して遺産分割について書面化しなければなりません。当時は口頭で法定相続分通りに分けようとしていたものの、いざ書面化しようとすると揉めるということもありますので、将来、実家を売却する可能性があるならば、遺産分割協議書の作成を含め、相続登記の準備を早めにしておく必要があります。

なお、令和6年4月1日から相続登記の申請が義務化されます。相続(遺言も含む)によって不動産を取得した相続人は、その所有権を取得したことを知った日から3年以内に相続登記の申請をしなければならないこととされました。令和6年4月1日より以前に相続が開始している場合も、3年の猶予期間がありますが、義務化の対象となります。
また、遺産分割が成立した時の追加的なルールとして、遺産分割の話し合いがまとまった場合には、不動産を取得した相続人は、遺産分割が成立した日から3年以内に、その内容を踏まえた登記を申請しなければならないこととされました。

正当な理由がないのに義務に違反した場合、10万円以下の過料の適用対象となりますので、かつてのように相続登記をしないままとするわけにはいかなくなります。

家族が集まる年末年始にキックオフを

実家をどうするか?という話は、家族で議論しなければならないことがたくさんあります。片付は簡単そうに思えるものの、高齢者や仕事を持つ私たち世代にとってはかなりの負担となります。無駄な処分費用をかけたくないというお考えならば、子供たちが協力して早めに手を付けたほうが良いというのが筆者の考えです。

また、相続登記の申請が義務化されるとはいえ、「急がなくても大丈夫」と考えてしまう方もいらっしゃるかもしれません。しかし、親から相続した財産が実家だけというような場合、遺言書がなく、相続人間で遺産分割について口頭で約束しただけで、相続登記もしないままであるということが多々あります。このようなケースでは、相続登記の義務化に伴い、遺産分割協議書を作成する必要が出てきます。これを作成する際に「口頭でそんな約束をした覚えはない」などと揉めることもありますので、できるかぎり早く遺産分割協議書を作成し相続登記の手続きに着手すべきでしょう。相続登記が済んでいない場合は司法書士などの専門家と相談するとよいと思います。不動産仲介会社は、解体業者や片付け専門業者、司法書士とのネットワークもあるため、実家処分の全般的な相談窓口として使うと良いでしょう。

この機会にお気軽にご相談ください!

私のお家、今いくら?
ご留意事項

本コンテンツに掲載の情報は、執筆者の個人的見解であり、当社の見解を示すものではありません。
本コンテンツに掲載の情報は執筆時点のものです。また、本コンテンツは執筆者が各種の信頼できると考えられる情報源から作成しておりますが、その正確性・完全性について執筆者及び当社が保証するものではありません。
本コンテンツは、情報提供を目的としたものであり、特定の金融商品の取得・勧誘を目的としたものではありません。
本コンテンツに掲載の情報を利用したことにより発生するいかなる費用または損害等について、当社は一切責任を負いません。
本コンテンツに掲載の情報に関するご質問には執筆者及び当社はお答えできませんので、あらかじめご了承ください。