不動産用語集
建て替え
読み:たてかえ
関連用語
- 復旧(区分所有法における~)
- 区分所有建物が、地震・火災・爆発などにより損害を受けた場合に、その損害を受けた部分を元の建物の状態に戻すことをいう。
専有部分の損害については、区分所有法および民法によれば、各区分所有者が専有部分を単独で所有しているので、原則的には区分所有者が単独で(集会の決議等を経ないで)専有部分の復旧を行なうことができるのであるが、実際には管理規約の定めにより、専有部分を復旧するには理事長の承認等の手続きを必要としているケースがほとんどである。なお専有部分の復旧工事にかかる費用は、その専有部分の区分所有者の自己負担となる。
次に、共用部分の損害については、「小規模滅失」と「大規模滅失」により取扱いが異なる。 1.小規模滅失の場合
損害を受けて効用を失った建物の部分(専有部分と共用部分の両方)の価格が、建物全体の価格の2分の1以下に相当する場合を「小規模滅失」という。
この小規模滅失の場合には、区分所有法の規定によれば、それぞれの区分所有者が単独で(集会の決議等を経ないで)、損害を受けた共用部分を復旧することができる(区分所有法第61条第1項)。しかし実際には、管理組合の集会の普通決議を経ることがほとんどである(区分所有法第61条第3項・第4項)。
共用部分の復旧工事にかかる費用は、共用部分の持分割合に応じて区分所有者全員が費用を分担する(区分所有法第61条第2項)。
2.大規模滅失の場合
損害を受けて効用を失った建物の部分(専有部分と共用部分の両方)の価格が、建物全体の価格の2分の1を超える場合を「大規模滅失」という。
この場合には、復旧を行なうためには、区分所有者の集会の特別決議(区分所有者数の4分の3以上および議決権の各4分の3以上の賛成)により可決した場合にのみ、共用部分の復旧を行なうことができる(区分所有法第61条第5項)。
このように大規模滅失については、復旧にかかる費用が巨額であること、建物自体の建て替えも検討する必要があること等により、特別多数の賛成が要件とされている。
なお、大規模滅失における復旧決議に賛成しなかった区分所有者は、復旧決議に賛成した区分所有者に対して、自己の所有する建物および敷地に関する権利を、時価で買い取るように請求することができる(区分所有法第61条第5項・第8項)。
これは復旧に参加する意思のない区分所有者が、速やかに区分所有建物の権利関係から離脱できるように配慮した規定である。
なお、上記の「小規模滅失」および「大規模滅失」のどちらについても、集会における区分所有者数の5分の4以上および議決権の5分の4以上の賛成により、区分所有建物の「建替え決議」を可決して、建物全部を建て替えることも可能である(区分所有法第62条)。
- マンションの再生等の円滑化に関する法律
- 老朽化したマンションの建て替えを円滑に進めることを目的として、2002(平成14)年に「マンションの建替えの円滑化等に関する法律」として制定・公布・施行された。
マンションの建て替えや除去は、原則として区分所有法に基づいて進めるのであるが、老朽マンションの増加や、管理組合の担い手不足が進むというわが国の状況に鑑み、建替え等を一層円滑に進めるため、合意形成や権利調整について、以下の特別の措置を定めた。
1. 法人格を持つ組合を設立して建替事業を施行する制度を創設すること(マンション建替組合)
2. 建替事業において、従前のマンションの所有権・敷地利用権・借家権を再建マンションの各権利に変換するための手続きを定めること(権利変換制度) その後、2011年の東日本大震災の発生を踏まえ、旧耐震基準により建設されたマンションが推計約100万戸以上存在する中で、巨大地震の発生に備えるため、2014(平成26)年に改正法が成立し、以下の制度が創設・追加された。なお、この際、法律の名称が「マンションの建替え等の円滑化に関する法律」に改正されている。 1.耐震性が不足していると認定されたマンション(要除却認定マンション)について、区分所有者等の4/5以上の賛成で、マンション及びその敷地を売却する旨の決議をすることができることとし、そのための手続きを定めること(除却する必要のあるマンションに係る特別の措置)
2. 法人格を持つ組合を設立してマンション敷地を売却する事業を実施する制度を創設すること(マンション敷地売却組合・マンション敷地売却事業) さらに、2020(令和2)年には、マンションの老朽化を抑制し、周辺への危害等を防止するための維持管理の適正化や老朽化によって維持修繕等が困難なマンションの再生に向けた取り組みの強化のため、「マンションの管理の適正化の推進に関する法律及びマンションの建替え等の円滑化に関する法律の一部を改正する法律」が成立・公布され、以下の改正が行なわれた。 1)除却の必要性に係る認定対象に、耐震性不足のものに加え、
(1)外壁の剥落等により危害を生ずる恐れがあるマンション等
(2)バリアフリー性能が確保されていないマンション等
を加え、容積率の特例が認められるとともに、(1)については、区分所有者及び議決権の4/5以上の同意によりマンション敷地売却を可能とする。
2)敷地分割が必要となる団地型マンションの敷地分割事業を円滑に推進するため、法人格を持つ組合を設立して実施する制度を創設する(敷地分割組合・敷地分割事業) 2025(令和7)年には、「建物と居住者の「2つの老い」の進行に対して、新築から再生までのライフサイクル全体を見通して、管理・再生の円滑化等を図ること」を目的として、「老朽化マンション等の管理及び再生の円滑化等を図るための建物の区分所有等に関する法律の一部を改正する法律」が制定・公布され、以下の措置が講じられるとともに、法律の題名も同年11月の施行に合わせて「マンションの再生等の円滑化に関する法律」に改められた。
1)再生の円滑化等(2026(令和8)年4月施行予定)
(1)建物・敷地の一括売却、一棟リノベーション、建物の取壊し等を建替えと同様に多数決決議(4/5(耐震性不足の場合3/4等))により可能とする。
(2)隣接地や底地の所有権等について建替え等の後のマンションの区分所有権に変換することを可能とする(容積率確保のための隣接地等の取込みに係る合意形成の促進)。
(3)耐震性不足等で建替え等をする場合、容積率のほか、特定行政庁の許可による高さ制限の特例を適用することを可能とする。
2)地方公共団体の取組の充実(2025(令和7)年11月施行)
(1)外壁剥落等の危険なマンションに対する報告徴収、助言指導、勧告、あっせん等
(2)合意形成等を支援する民間団体の登録制度の創設
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