住まいの税金ガイド

2. マイホームを売るとき、買い替えるときの税金

マイホームを売るとき、買い替えるときの税金の仕組み

マイホームを売るとき、買い替えるときの税金の仕組み

居住用には「3,000万円の特別控除」税率は所有期間によって異なる

マイホーム(居住用財産)を売ったときの譲渡益(注)にかかる税金は、他の土地・建物の売却と異なり、特例によって軽減されます。一般的には、「3,000万円特別控除の特例」があり、所有期間によって税率が異なります。10年超所有の場合は「特定の居住用の買い替え特例」が選択できます。

3,000万円の特別控除の特例は、譲渡益から3,000万円を控除し、その残額に対して課税されます。

  1. 売却代金-土地建物の取得費-譲渡費用=譲渡益
  2. 譲渡益-3,000万円=課税所得
  3. 課税所得×税率=税額

つまり譲渡益が3,000万円以下なら、税額はゼロとなります。そして譲渡益が3,000万円を超して課税所得が出た場合には、そのマイホームの所有期間によって大きな差があり、次の3つの区分に分けられています。
なお、この所有期間は売却した年の1月1日現在でみることになっています。(「【Q&A】「買った日」「売った日」はこうして決まります」 参照

(注)
譲渡益とは、売却代金からその土地や住宅の取得費、譲渡費用など必要経費を引いたものです。

(1) 5年以下所有の住まいの売却短期譲渡所得で課税

税率 所得税30%(30.63%) 住民税9%

(2) 5年超~10年以下所有の住まいの売却長期譲渡所得で課税

税率 所得税15%(15.315%) 住民税5%

(3) 10年超所有の住まいの売却低率分離課税

課税所得 所得税 住民税
6,000万円以下の部分 10%(10.21%) 4%
6,000万円超の部分 15%(15.315%) 5%

夫婦などで同居する共有名義の住まいを売却したときの、3,000万円控除の適用ケーススタディ

1. 土地が単独、建物共有のケース

土地が単独、建物共有のケース
  1. 夫は自分の持分の建物部分の譲渡益から3,000万円控除
  2. 妻は自分の持分の建物部分と土地の譲渡益から3,000万円控除

2. 建物単独、土地共有のケース

建物単独、土地共有のケース
  1. 夫は建物と自分の持分の土地の譲渡益から3,000万円控除
  2. 妻は自分の持分の土地の譲渡益部分に、aの3,000万円控除に残額があった場合にのみ適用される

3. 土地単独、建物単独のケース

土地単独、建物単独のケース
  1. 夫の建物の譲渡益から3,000万円控除
  2. 妻は土地の譲渡益部分に、aの3,000万円控除に残額があった場合にのみ適用される

4. 土地、建物それぞれ共有のケース

土地、建物それぞれ共有のケース

夫、妻ともに自分の持分に応じた譲渡益に対してそれぞれ3,000万円控除が適用される

「特定の居住用の買い替え特例」

「特定の居住用の買い替え特例」は、売却するマイホームの居住期間が10年以上、所有期間が10年超、売却する住まいの価額が1億円以下(平成26年1月1日以後の譲渡に適用)などの条件に該当するとき適用されます。売却代金のうち買い替えに充当した部分は所得税や住民税が繰り延べとなります。

この特例は平成10年1月1日から平成29年12月31日までの期限内の譲渡に限り認められるもので条件は下記のようになっています。

売却資産の条件

  1. 土地(含借地権)・建物の所有期間がともに、売却する年の1月1日現在で10年を超えていること。
  2. 売却する住まいでの居住期間が10年以上であることなど。
  3. 売却する住まいの価額が1億円以下であること。

買い替え資産の条件

  1. 買い替え資産は建物が50m²(1-2.登録免許税 注1参照)以上で上限はなくかつ土地は500m²以下のものに限られる。
  2. 中古耐火建築物を取得する場合は築後25年以内のものなど。
  3. 2の期間を超え新耐震基準に適合している住宅(1-2.登録免許税 注2参照)。
  4. 既存住宅売買瑕疵保険に加入している住宅(加入後2年以内のもの)。
(注)
売却代金の方が買い替えた住宅の価格より高いケースで、譲渡益が出た場合の税率は長期譲渡所得で計算します。

買い替え特例の適用が可能でも、ケースにより、さらに有利な特例の選択ができる

将来の税制改正などを考えると一概には言えませんが、どの特例を選択するかは税理士などの専門家にご相談ください。

マイホームの買い替え特例は住まいを売却して買い替え資産を当年、翌年、あるいは前年に取得した場合に適用される制度です。なお、手許に現金を多く残したい場合とか、再度の買い替えを計画している場合などは、3,000万円の特別控除と低率分離課税を選択したほうがより有利となるケースもあるので、専門家と十分に相談してください。

2つの住宅譲渡損失の繰越控除の特例

5年超所有のマイホームを売却し、赤字が出たときは、ケースにより次の2つの特例のいずれかが適用になります。

  1. マイホームを買い替えたとき
  2. マイホームを譲渡したとき

一定の条件を満たせば、その年の他の所得と損益通算でき、なお赤字が残るとき、翌年以降3年間、この譲渡損失(赤字)を繰越控除することによって、所得税・住民税が軽減できます。

1. マイホームを買い替えたとき

平成10年1月1日から平成29年12月31日までに、売却したマイホームの赤字に認められ、その条件は次のようになっています。

売却するマイホームの条件

  1. 所有期間が売却する年の1月1日現在で5年を超えていること。
  2. 売却したマイホームに譲渡損失が生じ、その年の他の所得と損益通算しても、なお赤字が生じること。また、500m²以上の敷地を売却した場合は、500m²までの損失分しか対象とならない。

買い替えるマイホームの条件

  1. 前のマイホームを売却して、翌年の12月31日までに新しいマイホームをローンで購入すること。またマイホームを先行取得する場合には、翌年の12月31日までに前のマイホームを売却すること。
  2. 購入するマイホームは50m²(1-2.登録免許税 注1参照)以上の床面積を居住用にすること。
  3. 購入後のマイホームのローンは、融資期間が10年以上で、特例を受ける各年の年末に残債があること。

所得制限など

  1. 特例を受ける各年(3年間)の所得が3,000万円を超える年については、特例を適用できない。
  2. 「住宅ローン減税制度」と併用することができる。

繰越控除の計算例〈ケーススタディ〉

  • 平成21年5月に7,000万円で購入したマンションを、今年4月4,000万円で売却し、5,000万円の住まいを購入。
  • 購入後のローン残高は2,000万円。
  • 平成29、30、31、32年の各年の所得800万円、所得控除190万円、所得税は79万2,500円とする。

1. 平成29年分の所得税

平成28年分の所得税の計算 平成28年分の所得税の計算

2. 平成30年分の所得税

平成28年分の所得税の計算 平成28年分の所得税の計算

3. 平成31年分の所得税

平成29年分の所得税の計算 平成29年分の所得税の計算

4. 平成32年分の所得税

800万円-205.1万円-190万円=404.9万円

所得税は41.02万円が還付

2. マイホームを譲渡したとき

平成16年1月1日から平成29年12月31日までのマイホームの譲渡に適用され条件は次のようになっています。

適用の条件

  1. 所有期間が売却する年の1月1日現在で5年を超えていること。
  2. 譲渡損失が発生していること。
  3. 売買契約を締結した日の前日に住宅ローンが残っていて、この金額が売却代金を超えていること。
  4. 以上のケースで2か3(売却代金-ローン残債)のいずれか損失の少ない方の金額が損益通算および繰越控除の対象となります。
  5. 特例を受ける各年(3年間)の所得が3,000万円以下のこと。

繰越控除の計算例〈ケーススタディ〉

  • 平成21年5月に7,000万円で購入したマンションを、今年4月4,000万円で売却し、ローン残高が売買契約の締結日の前日で5,000万円あるケース。
  • 平成29、30年の各年の所得800万円、所得控除190万円、所得税は79万2,500円とする。

1. 適用対象譲渡損失の計算

適用対象譲渡損失の計算 適用対象譲渡損失の計算

2. 平成29年分の所得税

800万円-1,000万円=△200万円

  • ※損益通算により△200万円の譲渡損失が残ったので翌年に繰越が認められる。
    所得税は全額79万2,500円が還付

3. 平成30年分の所得税

800万円-200万円-190万円=410万円

  • ※所得税は40万円が還付

【Q&A】買い替えによる「住宅の譲渡損失の繰越控除」と「住宅ローン減税」は併用することができます

マイホームを売却し3,000万円の譲渡損失が出ますが、今年5,000万円のローンを20年返済で借りてマイホームを買い替える予定です。「住宅の譲渡損失の繰越控除」と「住宅ローン減税」を併用できますか。私の年間所得は約1,500万円です。
「住宅ローン減税」と「住宅の譲渡損失の繰越控除」が併用できます。あなたのケースでは、今年は年間所得1,500万円から譲渡損失3,000万円を差し引いて、所得税(及び来年の住民税)がゼロとなり、所得税が全額還付されます。来年も、年間1,500万円の所得から繰越譲渡損失1,500万円が控除され、今年と同様になります。したがって住宅ローン減税は3年目から8年間にわたって税額控除されることになります。

【Q&A】「買った日」「売った日」はこうして決まります

私は、平成18年12月25日に売買契約を結んで中古の建物と敷地を買いました。しかし、暮れもおしせまっていましたので、登記の日は翌年1月6日にしています。この場合、平成29年にこれを売ったとしますと、10年超の所有になるのか、10年以下の所有になるのか教えてください。「居住用の特例」を利用したいと考えています。
土地・建物の取得の日及び売った日というのは、原則的にはその土地・建物などの引渡しの日となっています。
しかし、引渡しの日といっても、売買契約の締結、代金受領、登記のうち、どれをもって引渡しの日とするか、判断がむずかしい場合があります。外形的には登記によって、対外的に所有権の保存をはかった時とするのが一般的でしょうが、かといって所有権の移転は、登記の有無だけでは判断できません。
そこで、税務上の取扱いとしては、取得の日は、売買契約の日か、登記の日か、納税者の選択にまかせられています(注)。
ですから、あなたの場合、売買契約書の日付を取得日とすれば、10年超所有の財産として認められ、「居住用3,000万円の特別控除」及び「低率分離課税」方式が利用できます。ただし、それを証明する売買契約書や領収書などが必要です。
同様に売った場合も、売買契約と登記の日が年をまたがる場合は、納税者の選択で確定申告することができます。
なお、農地の譲渡の場合は、農業委員会の許可を受けなければなりませんので、売買契約してから、許可のある日まで、かなりの日数を必要とする場合があります。その場合は、原則として、農業委員会の許可があった日か、引渡しの日か、いずれか遅い日となっていますが、納税者の選択によって、売買契約時の申告でもよいことになっています。

所有期間の計算方法

所有期間の計算方法
(注)
新築のマンションや建売住宅、請負による新築住宅などは建物が完成して引き渡しを受けた日が取得の日となります。

このガイドについて

このガイドは、平成29年4月1日現在の法令にもとづいて作成したものです。年度途中に新税制が成立したり、税制等が変更になったり、通達により詳細が決まったりするケースがありますのでご了承ください。
平成25年分から所得税のほかに復興特別所得税が所得税額の2.1%課税されますが、計算の都合上これを除外している場合があります。
平成29年4月1日より消費税が10%にアップされる予定でしたが経済情勢などにより平成31年10月1日に延期されました。
税金は複雑な問題もありますので、ケースによっては、税理士など専門家にご相談ください。

編集・制作/株式会社サンビー企画