「レインズマーケットインフォメーション」で相場観をつかむ

住まいを売るとき、買うとき、いずれも不動産マーケットの相場観をつかんだうえで取引に臨みたいと思う方は多いでしょう。売り出されている物件の価格はウェブサイトなどを検索すればわかりますが、実際に売れる価格とは異なるため参考にならない場合も見受けられます。そこで今回、一般の方でも取引事例に触れることができる「レインズマーケットインフォメーション」を使った相場観のつかみ方をご紹介します。

「レインズマーケットインフォメーション」で相場観をつかむ

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マンションを例にした相場チェック方法

レインズマーケットインフォメーションは全国指定流通機構連絡協議会が運営している成約価格をもとにした不動産取引情報提供サイトです。今回は中目黒駅を最寄駅とする中古マンションを例に相場をチェックするための方法をご説明します。

まず、都道府県を東京都、地域を東京23区南部(目黒・世田谷・大田・品川)として検索します。すると直近1年間の成約情報3455件とともに次のような散布図が表示されます。

直近1年の取引情報グラフ

このグラフは縦軸が成約単価(万円/m²)で横軸がマンションの竣工年(築年)となっていますので、築年に応じた成約単価がどのように分布しているのかが分かります。具体的には1990年ころまでの物件は概ね横ばい、それ以降、成約単価は上昇しますがその上昇率が徐々に増していく形になっています。これが、東京23区南部の築年数による大枠のトレンドであるということがこの散布図で読み取れるのです。また、例えば23区南部所在の2010年築のマンションならば60万円/m²~200万円/m²という範囲に成約価格帯が分布しているということがわかります。

エリアを絞り込んで予測精度を上げる

次に、地域詳細で目黒区を選定してみます。先ほどの散布図に緑色の点が上書きされます。築年に対応する成約単価のトレンドは似ていますが、目黒は東京23区南部の中では、各築年数にわたって、成約単価が高い分布となっていることが一目でわかると思います。立地が絞られたことで、築年数ごとの分布の範囲も狭くなっており、価格の予測精度が高くなってきました。

直近1年の取引情報グラフ

最後に沿線を東急東横線、最寄り駅を中目黒にしてみます。予想通り、かなり高い成約単価の分布となっていることがよくわかります。このように、築年数に対して立地で絞り込みをかけることで、築年ごとの成約単価分布が少しずつ狭くなってくるので、予測精度が上がってきます。ここまででも十分にマンションの相場観をつかむことはできると思います。例えば、2005年ころの築で中目黒駅を最寄り駅とする中古マンションなら、平均で140万円/m²程度、分布としては120万円~160万円/m²くらいの範囲に成約価格がありそうだということがわかると思います。

保有する物件・土地の定期的な資産価値の確認がポイントです。

さらに予測精度を上げるためには

今回のケースでは分布の範囲が120万円/m²~160万円/m²程度とわかりましたが、もう少し分布の範囲を狭めたい、予測精度を高められないかと感じるかもしれません。実はこのような範囲の分布が残ってしまうのは、最寄り駅からの距離、所在階、専有面積、開口部の方位や眺望といった個別物件の属性となる要素の違いも成約単価に影響しているからなのです。

ここで掲げたグラフは、築年を横軸にしていますが、最寄り駅からの距離、所在階、専有面積を横軸にしたグラフを作成してその傾向をつかむことができれば、より予測精度は高まります。しかしそこまで細かく分析するのは一般の方にとっては限界があると思います。実のところ、コンピュータを使用して予測する場合、こうしたいくつもの要素を横軸にして、それらを総合して予測精度を上げています。具体的には価格に影響する立地や個別の属性を使った予測モデルを作って機会学習させるなどの方法を採用しています。筆者はこれに加えて緯度と経度を加味したモデルを利用していますが、不動産会社はそれぞれのモデルを利用し予測結果を顧客に提示しているようです。

必ずしも細かくなくてよい

最寄り駅からの距離や専有面積、所在階などの違いでどの程度の差が出ているかということについては、売り出されている物件情報から見当をつけることが可能です。例えば、最寄り駅からの距離と築年数、専有面積が概ね同じマンションを選べば、所在階の違いでどの程度の価格差が出ているかという傾向はつかめます。ここまで説明してきたレインズマーケットインフォメーションを利用した大枠の予測にこれを付加すれば精度はより高まりますので、お時間があれば試してみるとよいでしょう。

大事なことは、成約事例を使って大枠の相場観(分布の範囲)をつかむことです。詳細な予測でなくても物件価格の妥当性がわかるようになります。売却であれば、不動産会社の価格査定にずれがないかどうかがわかるようになるだけでなく、競合物件の売り出し価格を踏まえた戦略的な値付けについてよりよい相談ができるようになると思います。

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