ライフステージ・スタイル別にみる賢い資産形成&防衛術

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<シングル向け>「時間」を味方に!長期積立投資の威力を知り、資産形成に生かす方法

  • 不動産
  • 資産形成
  • シングル向け

公開日:2020/3/19

シングル

給料を安定してもらえるようになってきたので、そろそろ本格的な資産形成に取り組みたいと考えています。
まずは、何から始めればいいのでしょうか。

今回のポイント

  • 「三大支出」と呼ばれる、住宅関連費、子供の教育費、老後資金にかかる費用の把握が大切です。
  • 資産形成に取り組もうと思ったら、まずは月々の積み立てから始めましょう。

住宅、教育、老後…人生の三大資金はこんなに必要

「三大支出」という言葉を聞いたことがあるでしょうか。生きていくためにはあらゆるお金がかかりますが、そのなかでも金額が大きい住宅関連費、子供の教育費、老後資金を「三大支出」と呼びます。

実際、それぞれに、どれくらいのお金がかかるのでしょうか。

例えば、家賃10万円の物件に50年間住むと、住宅関連費の総額は約6,000万円になります。家賃15万円なら9,000万円です。持ち家の場合には、物件購入費に加えて、住宅ローンを利用していればその利息、メンテナンス費用、固定資産税などがかかってきます。

教育費は、子供の有無、数、公立か私立かの選択によって必要額が変わってきます。文部科学省の「子供の学習費調査」(2019年)によると、幼稚園から高校3年生までに、子供1人につきかかる費用は、全て私立に通った場合は約1,770万円、全て公立に通った場合には約540万円になるとのことです。大学の授業料は、国公立で年50万円ほど、私立が75万円ほどですので、この分を加えると、最低で約700万円、多くかかる場合で約2,000万円というのが目安になるでしょう。

この金額は子供1人にかかる金額となるため、2人、3人と増える場合は金額も2倍、3倍になります。また、教育費には衣食住にかかるお金は含まれませんので、大学生になって子供が1人暮らしする場合などには、家賃や光熱費などが別途かかってきます。

老後資金は、仕事を辞めたあとの生活費(支出)と受け取れる年金(収入)の差を引き算し、足りない金額と寿命を掛け算すれば必要な金額が計算できます。

総務省の「家計調査」(2018年)によると、60歳以上の仕事をしていない世帯(高齢無職世帯)は、収入が約22万円、支出が約26万円で、毎月約4万円の赤字が出ています。

高齢者夫婦無職世帯の家計収支 出典:総務省「家計調査」(2018年)

この数字をもとに計算すると、1年あたりの赤字は48万円ですから、60歳から85歳までの25年間を年金収入で暮らしていくとすると1,200万円の赤字となります。

これが、老後資金として準備すべきお金の目安です。60歳で定年するならば、それまでに1,200万円を貯めておけば、老後の生活費への不安は軽くできるでしょう。また、退職金が見込める場合は、その分を老後資金として上乗せが可能です。

ただし、この金額はあくまでも平均の金額で、85歳まで生きた場合で計算しています。病気や介護の費用などでさらにお金が必要になる可能性や、100歳くらいまで長生きすることもあります。その分を加味すると、話題になった「老後に2,000万円不足する」という試算はあながち遠くなく、むしろひとつの目安になるでしょう。

長期間になるほど「複利」が効いてくる。長期積立投資の威力とは?

これらをざっくりまとめると、三大支出だけで1億円以上かかる計算になります。

ただ、住宅に関しては、月々の収入(給料)で家賃やローンを支払っていくケースがほとんどでしょうから、住宅だけのためにまとまったお金を用意するケースは少ないはずです。

住宅に関して注意したいのは、老後も賃貸で暮らす場合です。この場合、仕事をやめて無収入になったあとも家賃負担が続くため、その分だけ老後資金が持ち家の人(ローン残債がある場合は除く)よりも必要になります。

まずは一歩目を踏み出すことが大事

では、教育費と老後資金はどうやって準備していけばよいのでしょうか。

ポイントは「時間」です。

教育費は、子供が生まれてすぐに必要になるわけではなく、進学の過程に合わせながら準備することができます。金額的には、高校と大学の頃の費用がもっとも大きくなりますので、子供が生まれてから15年くらいを目安に最大で2,000万円くらい貯められればいいのです。

必要額だけに注目すると「貯められるだろうか」といった不安が生まれますが、「時間」を意識すると見方が変わります。

教育費として2,000万円準備するのは簡単ではありませんが、15年かけて貯めるのであれば、1年あたり約133万円、月11万円ずつです。時間を意識することにより、月々の貯蓄計画も見えてくるでしょう。「貯められそうだ」と思えれば、行動力が高まり、実際に貯め始めやすくなります。

老後資金も同様、いますぐに必要なわけではなく、退職するときまでに準備できていれば間に合います。仮に退職まで30年あり、余裕をもって計算した必要額が2,000万円だとしたら、退職金としてもらえる金額を差し引いて、残りのお金を30年で貯めていけばいいわけです。

貯める時間に余裕があるほど、最終的な積立額が大きくなるか、月々の積立額が少なく収まりますので、少しでも多くの時間をかけられるように、準備は少しでも早く始めたほうがいいでしょう。

時間を意識しながら資金を「貯めて」、利息で「増やす」

資金準備の手段としては銀行の積立預金が代表的ですが、その他の手段として、教育費なら学資保険、老後資金なら個人年金保険など保険を使って貯めていく方法も検討できます。

個人向け国債などの債券や、米ドルやユーロなどの外貨預金を組み合わせながら貯めていくこともできます。

債券は、3年、5年といった期間を決めて運用しますし、固定金利の商品を選べば、市場動向を気にする必要はほとんどありません。基本的に、元本割れしないという点もメリットです。

ただ、安全性が高い分だけ利率は低くなります。例えば、国債の利率は0.05%(税引前)ほどで、銀行預金とほぼ変わりません。運用効率を高めるために、比較的利率が高い米国債などの外国債券を組み合わせることも検討できます。

外貨預金についても、海外の銀行は日本の銀行よりも利率が高いことが多いといえます。引き出すときまでの為替変動によって、積み立てたお金に利益が乗る可能性もあります。

また、一般的には教育費が先に必要になり、老後資金があとで必要になります。そのため、優先順位としては教育費が先です。

「時間」を意識しながら、何のためのお金を、どういう順番で貯めていくか整理することも資金計画の大事なポイントといえます。

老後資金など長期の積み立ては複利効果を狙う

資金準備をスタートしたら「貯める」だけではなく「増やす」ことも考えてみましょう。

例えば、年0.1%の利息がつく商品で月10万円ずつ貯めていくと、30年後に約3,600万円になります。元金は3,000万円ですから、600万円分のリターンが得られるということです。

では、仮に年1%で運用できたらどうなるでしょうか。30年後の金額は4,100万円(リターン1,100万円)に増えます。年3%なら5,800万円で、元金の2倍近くまで増やすことができます(非課税として計算)。

貯めたお金に利息がつく複利の運用は、長期になるほど金利差の影響がでます。そのため、老後資金のように長期間かけて準備する場合は、月々の積立額も大事ですが、それと同じくらい、どうやって運用するかが大事になるのです。

これも「時間」に注目する資金準備のポイントです。長期で準備する資金ほど、利率や利回りに目を向けることが大事なのです。

では、利率や利回りがよい運用にはどのような方法があるのでしょうか。

例えば、株式投資です。株式投資というと株価変動による値上がり益(キャピタルゲイン)をイメージする人が多いかもしれませんが、長期保有することによって配当金収入(インカムゲイン)で増やしていくことができます。2019年の実績をみると、日本株の配当利回りは平均2%ほどでした。

日本株だけでも配当銘柄は多数ありますし、そのなかには10%近い配当が得られるものもあります。景気変動や企業の業績によって資金が減るリスクはありますが、運用効率を高める手段として、例えば、月々貯めていくお金のうち、半分は安全性が高い預金など、残り半分は株を買うといった方法も検討してみることができるでしょう。

不動産投資も運用効率がいい手段の1つです。日本不動産研究所の「不動産投資家調査」によると、東京都内のワンルームマンションの場合で平均利回りは4%以上あります。また、地方は物件価格が安いためさらに利回りがよくなり、平均で5%を超えています。

ただし、不動産投資は物件を購入するためにまとまった資金が必要です。そのため、まずは積み立てや株式投資などのリスク資産で資金を増やし、まとまった資金ができたときに、さらに効率を高めるための手段として位置付けておくのがいいでしょう。

ちなみに、手持ち資金がない場合でも不動産投資用ローンを組んで物件を買う方法もあります。この場合、そのあとでマイホーム購入のため、住宅ローンを組むときに借入金額が制限される可能性がありますので、利用には注意が必要です。

資産形成を始めようと思ったら、まずは「貯める」視点で積み立てをスタートしましょう。貯めていく道筋ができ、資金が増えてきたら、次は時間を意識しながら「増やす」視点を持ってみましょう。

預金から株式投資、不動産投資へと運用手段の幅を広げていくことにより、資金は着実に大きくなり、将来の不安は小さくなっていくはずです。

期待利回り 出典:(一財)日本不動産研究所「不動産投資調査」

監修者紹介

三菱UFJ信託銀行:MUFG相続研究所 所長
小谷 亨一(こたに こういち)

経歴:
1級ファイナンシャル・プランニング技能士、宅地建物取引士。
三菱UFJ信託銀行の営業店で資産運用・不動産・ローン・相続などの相談業務に従事。現在は、その経験を活かして資産運用や資産承継のセミナー講師として活躍の傍ら、TV・経済誌などメディアにも出演。

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