ライフステージ・スタイル別にみる賢い資産形成&防衛術

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<シニア向け>孫に直接資産を渡す!生前贈与、養子縁組、遺言、信託の賢い使い方

  • 不動産
  • 資産形成
  • シニア

公開日:2020/3/19

シニア

子供たちから、そろそろ相続について考えるように言われ、資産の渡し方を検討しています。いずれ、子供から孫に相続されるのですから、孫に直接相続できないものかと考えているのですが、何か方法はないのでしょうか。

今回のポイント

  • 孫への資産移転の方法として、「生前贈与」「養子縁組」「遺言」「信託」といった方法があげられます。
  • ただし、それぞれの方法にメリット・デメリットが存在しますので、しっかりと確認したうえで活用を検討しましょう。

相続対策としても有効な「孫に直接資産を渡す」という選択肢

相続なんてまだまだ先と、対策を考えずに先延ばしにしていないでしょうか。いざというときは突然に訪れるものです。相続では、財産の分配方法も重要ですが、相続発生後に生じる相続税の支払いについても考えなければなりません。その時がきてから慌てないよう、事前の対策を検討していきましょう。

もし、手持ちに土地や現金がある場合、子供ではなく、孫に相続させたほうが税金面で有利になる可能性があります。

通常は、自分から子供へ相続され、子供の死後、子供から孫へと相続が発生します 。対して、自分から孫へ直接相続させた場合には、相続が1回で済むため、相続税が少なく収まる可能性があるのです。

まずは、その仕組みと注意点を押さえておきましょう。

相続の仕組みから見ていくと、そもそも相続は被相続人(自分)の配偶者、および一親等の血族に限られています。また、それ以外の人が相続する場合は、相続人が納める相続税額が通常の1.2倍になると決まっています。これを「相続税額の2割加算」といいます。

そのため、孫に直接相続させることによって、相続税をおさえられるかどうかは、相続財産の金額によって変わってきます。相続税の負担は相続財産と比例しますので、基本的な考え方としては、相続財産が多い人ほど、孫の相続が有効な税金対策になるはずです。相続税の金額や、孫の相続が有効かどうかは、税理士など専門家に試算してもらいましょう。

一方、配偶者と子供がすでに他界しており、孫が健在の場合には、孫が自動的に相続人になります。これを代襲相続といいます。この場合、2割加算は発生せず、孫の相続のために特別な手続きをする必要もありません。

また、相続税はすべての相続人が納めるわけではなく、非課税枠があります。相続財産が非課税枠の範囲に収まる場合は、相続税について考える必要がありませんので、税金対策の観点においては、わざわざ孫に相続させる必要性はないといえます。

基礎控除額の計算式

養子縁組&遺言を活用した対策の留意点

子供が健在の状態で、孫に相続させる場合は、遺言書によって孫を相続人に指定する必要があります。法律上、相続人には順番があり、配偶者は常に相続人となり、子供がいる場合は子供、子供がいない場合には父母や兄弟にも相続する権利が発生します。

ただし遺言書は、法律で定められている相続の順番よりも優先されます。例えば、遺産の半分を孫に相続させる、遺産を全て孫に相続させるといったことを記しておくことで、被相続人(故人)となる自分の希望が反映されやすくなります。

注意点として押さえておきたいのは、被相続人(故人)の配偶者と子供は、法律で保障された相続の権利を持っているということです。これを遺留分といいます。そのため、仮に孫が全てを相続すると遺言に記したとしても、彼らが自分の遺留分を求めた場合 は、法律で決められた割合の遺産を受け取ることになり、孫が相続する分は減ります。つまり、スムーズに相続を実現させるためには、相続権を持つ家族が了承している必要があるということです。

孫に相続させるもうひとつの方法として、孫を養子にすることもできます。

被相続人(故人)の子供は相続の権利を持ちます。そのため、孫が養子として子供になれば、必然的に孫も相続人になれるということです。

また、養子は法定相続人で、相続税計算にある法定相続人の数が増えることになるため、控除額も増えます。例えば、法定相続人が2人だった場合は、前述の計算式のとおり、 相続財産は4,200万円までが非課税ですが、養子縁組をして子供が3人になると、4,800万円(計算式:3,000万円+600万円×3人)まで相続税が発生しなくなります。

ひとつ注意点を挙げるとすると、被相続人となる故人に実の子がいる場合には、相続税法上でカウントできる養子は1人までに制限されます。

法廷相続人の範囲について

孫への生前贈与のメリットと失敗回避のポイント

相続は、被相続人が死亡したときに発生します。そのため、孫にお金を残す方法として、自分の生命保険(死亡保険)の受取人を孫にしておくこともできます。

ただし、子供が健在の場合や、孫を養子としていない場合、孫は法定相続人にはなりません。そのため、保険金の控除は受けられず、相続税についても前述した2割加算のルールが適用されます。

自分が生きている間に孫に遺産を渡したいのであれば、生前贈与を検討してみましょう。

1年間(1月1日から12月31日)の贈与が110万円までであれば、贈与税なしで財産を渡すことができます。この1年間ごとの非課税枠をもとに贈与税を算出していく方式を、暦年贈与といいます。贈与を受ける孫(受贈者)1人ひとりにつき110万円の非課税枠が使えるため、孫3人に贈与したい場合、それぞれに110万円ずつ贈与すれば、年間計330万円を非課税で贈与できるのです。

しかし、特定の孫に定期的な贈与を続けた場合、最初からまとまった金額を贈与しようという意図があったと税務署に指摘される可能性があります。

例えば、毎年100万円ずつを10年間にわたって贈与した場合、「10年間にわたり100万円ずつの給付を受ける契約に係る権利」を贈与したとされ、贈与税の対象となります。

これは連年贈与と呼ばれ、もともと1,000万円を分割して渡す意図があったと判断されるのです。その際には、贈与した合計額で贈与税を再計算されます。計1,000万円の贈与を行った場合、非課税となる110万円を引いた、890万円に贈与税がかかることになります。

一括でまとまった額のお金を渡したい場合(一括贈与)には、相続時精算課税制度の利用も検討できます。贈与する人が60歳以上の父母又は祖父母、贈与を受ける人が20歳以上の子又は孫であればこの制度を使うことができます。

相続時精算課税制度では、贈与する財産は、2,500万円まで贈与税が非課税となります。しかし、ここで注意しておきたいのが、相続時に相続税がかかってくる点です。

そのため、税金対策としての効果は基本的にはありません。また、相続時精算課税制度を利用した場合、それ以降の贈与において暦年贈与を利用することができなくなりますので注意しましょう。

生前贈与を行う際の注意点として、贈与する人と贈与を受ける人との間で、あげる、もらうという合意が成立している必要があります。つまり、孫の名義で通帳を作り、入金するようなケースは、受贈者の「もらう」という意思が確認できないため、税務署に生前贈与と認めてもらえなくなる可能性があるのです。

そのため、両者の意思を立証するために、契約書などを作っておくのがよいでしょう。また、手渡しの贈与も生前贈与と認められないことがあるので、通帳の記録が残る振込で贈与するのがおすすめです。

また、孫のための教育資金、結婚・子育て資金、住宅取得のための資金は、一定の金額まで非課税で贈与できる特例があります。暦年贈与や相続時精算課税制度による一括贈与と比べるとお金の使い道が限定されますが、このような制度を活用することにより、より多くのお金を孫に贈与することができます。

孫への資産移転を確実・自在に行うための「信託」の使い方

孫への資産移転は、相続、贈与を問わず、様々な決まりがあり、受けられる特典も複数あります。そのため、効率よく渡す方法として、信託銀行などを使う方法も検討してみるとよいでしょう。

例えば、前述した教育資金に関しては、非課税制度を使うための条件として信託銀行などと信託契約を結ぶことが条件となっています。教育資金の贈与は、教育のために使ったことを証明する必要があるため、孫が支払った分の領収書を信託銀行に提出し、口座からお金を受け取るのが基本的な流れです。このような仕組みを使うことにより、孫への贈与が着実に実行できますし、贈与する資金の管理や、贈与する際にかかる手間なども軽減できます。

また、信託銀行にはお金だけでなく、不動産や株式などの管理も任せることができます。孫への資産移転や相続税・贈与税対策を考える人の多くは、現金以外の資産を持っているケースが多いといえます。そのような資産について、有利な活用法や管理方法を相談できるのも信託銀行を使うメリットのひとつといえるでしょう。

不動産を例にすると、信託銀行を使うことにより、信託した不動産の管理などを任せることができます。また、信託を契約した本人が死亡したときについても、あらかじめ不動産の処理方法を決めておくことで、スムーズに不動産の相続手続きを進めることができるのです。

監修者紹介

三菱UFJ信託銀行:MUFG相続研究所 所長
小谷 亨一(こたに こういち)

経歴:
1級ファイナンシャル・プランニング技能士、宅地建物取引士。
三菱UFJ信託銀行の営業店で資産運用・不動産・ローン・相続などの相談業務に従事。現在は、その経験を活かして資産運用や資産承継のセミナー講師として活躍の傍ら、TV・経済誌などメディアにも出演。

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