住まいの税金ガイド

6. 「住宅資金贈与特例」と「相続時精算課税」制度

  • 親や祖父母などから700万円、条件により1,200万円まで非課税の「住宅資金贈与特例(直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の贈与税の非課税制度)」。
  • 親や祖父母などから原則2,500万円まで当面非課税の「相続時精算課税」制度。

「住宅資金贈与特例」と「相続時精算課税」制度の仕組み

2つの制度はともにマイホームの購入・建築、同時に取得する敷地(注1)・増改築(注2)の資金に適用になります。
通常、相続開始前3年以内に受けた贈与財産は相続税の課税対象となります。しかし「住宅資金贈与特例」は相続税の課税対象にならず有利です。
また、「住宅資金贈与特例」は「一般住宅」が700万円、省エネ性住宅などの「高品質住宅」(5. 住宅や土地などを贈与するときの税金 「贈与税の課税の仕組み」 注参照)が1,200万円まで非課税です。また「相続時精算課税」制度はマイホーム以外にも利用でき、当面、2,500万円までの贈与税が無税となり、相続時に相続財産として精算課税されるものです。なお、平成31年4月1日以降33年12月31日までの「住宅資金贈与特例」は5.住宅や土地などを贈与するときの税金 注3参照

「住宅資金贈与特例」と「相続時精算課税」制度の仕組み

700万円・1,200万円まで非課税の「住宅資金贈与特例」

直系尊属(親や祖父母などで、年齢制限なし)からその年の1月1日現在20歳以上の子や孫などへのマイホーム資金の贈与は一般住宅で700万円、高品質住宅は1,200万円まで非課税となります。
また、子や孫などに所得制限があり2,000万円以下となっています。

この特例は次の2つの特例のいずれかと併用することができます。

1. 暦年課税(毎年の贈与税の基礎控除110万円)と併用するケース

住宅資金贈与特例

→700万円
→1,200万円

暦年課税の基礎控除

→110万円

810万円が非課税
1,310万円が非課税

2. 相続時精算課税制度(最高2,500万円まで当面非課税)と併用するケース

  • ※「住宅資金贈与特例」は親や祖父母など(複数の人からも可)から20歳以上の子や孫などが合計700万円・1,200万円まで非課税で贈与が受けられます。

2,500万円まで非課税の「相続時精算課税」制度

2,500万円は贈与時には非課税ですが相続時に相続財産として精算課税されます。
マイホーム資金に利用できるのはもちろんですが、それ以外の贈与にも適用になります。ただしそのケースでは親や祖父母などの年齢が60歳以上となります。
平成33年12月31日まで下(イ・ロ)の要件を満たしたマイホーム資金には親の年齢制限はありません。

「相続時精算課税」制度の要件

  1. 親や祖父母などから、その年の1月1日現在で20歳以上の子や孫などへの贈与に適用されます。親や祖父母などの年齢は60歳以上となります。
  2. 贈与を受ける子や孫などの年収制限はありません。
  3. 贈与を受けるときに、住所が日本国内にあること。
  4. 非課税限度額以内であれば何回に分けても利用できます。
  5. 一度、「相続時精算課税」制度を選択すると以後の贈与はすべてこの制度が適用され、同じ親からの贈与には通常の贈与税の制度(毎年の基礎控除110万円)が使えなくなります。この2つは、選択制となっていて、ご自分のライフステージにより選択してください。
  6. 非課税枠を超えると一律20%の贈与税がかかりますが、相続時に相続税から控除されます。
  7. この制度は父母や祖父母など、それぞれから2,500万円ずつ受けられます。
  1. (イ)対象となるマイホームは、新しい住宅の建築・購入と中古住宅(木造で20年以内、耐火で25年以内。ただし、これを超える場合は新耐震基準(1-2.登録免許税 注2参照)を満たしたもの)の購入および一定の増改築。
  2. (ロ)対象となる床面積は50m²(1-2.登録免許税 注1参照)以上で、1/2以上に相当する部分がマイホーム用であること。

【Q&A】「住宅資金贈与特例」と「相続時精算課税」制度を最大限利用する

30歳の私は父(60歳)母(55歳)祖母(80歳)から贈与資金を最大限もらい、マイホームを取得する予定です。当面無税でいくらまで贈与を受けられますか?私の年間所得は約800万円です。
「住宅資金贈与特例」は親や祖父母などから700万円、条件により1,200万円まで子や孫などへの贈与が無税の特例です(贈与を受ける子や孫などの所得制限は2,000万円以下)。このため祖母から700万円または、1,200万円の贈与を受けることが可能です。
次に「相続時精算課税」制度のマイホーム資金の贈与を利用して父母と祖母それぞれから2,500万円ずつ当面無税で受けることができ、最大8,200万円または8,700万円のマイホーム資金を確保できます。

【Q&A】「相続時精算課税」制度を利用して住宅ローンの残債を整理する

マイホームの買い替えを考えています。現在住んでいるマンションの購入時に借りた住宅ローンがまだ2,000万円以上残っています。「相続時精算課税」制度を利用して残債をクリアにすることができますか。
非課税枠2,500万円の「相続時精算課税」制度は、従来の贈与税の課税制度と贈与財産の範囲については全く同じです。贈与財産には現金・預金、有価証券、土地・建物などの財産のほか、低廉譲渡や債務の引き受けなどの経済的利益まで対象となります。そこでこの「相続時精算課税」制度の非課税枠2,500万円を使って、60歳以上の親が子の住宅ローンの残債2,000万円を負担したとしても、当面の贈与税はかからないで済みます。このように「相続時精算課税」制度の非課税枠2,500万円を利用して、住宅ローンの残債を整理し、マイホームの買い替えをスムーズにすすめられます。

贈与税の速算表2(注)

基礎控除後の課税価格(A) 税率(B) 控除額(C)
200万円以下10%0万円
200万円超300万円以下15%10万円
300万円超 400万円以下 20%25万円
400万円超 600万円以下 30%65万円
600万円超 1,000万円以下 40%125万円
1,000万円超 1,500万円以下 45%175万円
1,500万円超 3,000万円以下 50%250万円
3,000万円超 55%400万円

◎計算のしかた(A)×(B)-(C)=贈与税額

(注)
5. 住宅や土地などを贈与するときの税金「贈与税の速算表1」以外の一般の贈与を受けたケース

このガイドについて

このガイドは、平成29年4月1日現在の法令にもとづいて作成したものです。年度途中に新税制が成立したり、税制等が変更になったり、通達により詳細が決まったりするケースがありますのでご了承ください。
平成25年分から所得税のほかに復興特別所得税が所得税額の2.1%課税されますが、計算の都合上これを除外している場合があります。
平成29年4月1日より消費税が10%にアップされる予定でしたが経済情勢などにより平成31年10月1日に延期されました。
税金は複雑な問題もありますので、ケースによっては、税理士など専門家にご相談ください。

編集・制作/株式会社サンビー企画