住まいの税金ガイド

不動産所得のしくみ

  • 賃貸住宅や貸地などによる所得(家賃、地代等)は不動産所得となる
  • 年間の総収入金額から必要経費を差し引いたものが不動産所得の金額となる

土地建物等の不動産の貸付けによる所得は不動産所得とされ、事業所得や給与所得などの他の所得と合計して課税されます(総合課税)。
なお、貸付けの他に、借地権の対価として受領した権利金については、その土地の時価の50%以下の額である場合に限り、不動産所得となります(譲渡所得Q&A参照)。
また、一見して不動産の貸付けと思えるものでも、例えば、食事付きの下宿やホテルの運営で得た所得など、事業所得や雑所得に該当するものがありますので注意してください。

不動産所得の計算方法

不動産所得の金額は、その年の不動産の貸付け等による総収入金額から、それにかかる固定資産税や減価償却費などを必要経費として差し引いて計算します。

総収入金額 必要経費 不動産所得金額

総収入金額とは、地代、家賃・共益費、駐車料、権利金、更新料・名義書換料などとなります。なお、敷金や保証金などの名目の預り金で返還を要しない部分がある場合は、契約内容に応じて、それぞれの年分で収入に計上する必要があります。また、賃貸住宅の屋上に太陽光発電設備を設置し、発電した電力を共用部分で使用し、その余剰電力を固定価格買取制度で電力会社に売却したときの売電収入は、不動産所得に該当します。

必要経費とは、その不動産所得を得るためにその年に要した費用等をいい、固定資産税等の租税公課や損害保険料、減価償却費、修繕費、その不動産等にかかる借入金の利子などとなります。

損益通算

総収入金額を必要経費が上回り、不動産所得が赤字となった場合は、その赤字の金額を事業所得や給与所得などの他の所得から差し引くことができます。

(注)
①別荘等のように主として趣味、娯楽、保養又は鑑賞の目的で所有する不動産の貸付けにかかるもの、②不動産所得の計算上必要経費に算入した土地等を取得するために要した借入金の利子にかかる赤字の金額は、損益通算の対象となりません。

青色事業専従者給与と青色申告特別控除

不動産の貸付けが「事業的規模」で行われている場合に限り、青色申告の事業専従者給与又は白色申告の事業専従者控除を必要経費とすることができます。また、事業的規模の青色申告者に限り、最高65万円の青色申告特別控除の適用が受けられます。

事業的規模で不動産の貸付けが行われている場合の特典

青色事業専従者給与・白色事業専従者控除の必要経費算入 一定の要件を満たす場合、次の金額を不動産所得の必要経費に算入できます。
青色申告者 ➡︎ 配偶者や親族に支払う相当な給与額
白色申告者 ➡︎ 配偶者は最高86万円、その他の親族は1人につき最高50万円
(注)
これらの専従者について必要経費算入を適用すると、その専従者については配偶者控除や配偶者特別控除、扶養控除の対象にはなりません。
青色申告特別控除の適用 青色申告者が正規の簿記の原則(複式簿記)に従って取引を記録し、それに基づいて貸借対照表・損益計算書を作成して確定申告書に添付すれば、青色申告特別控除として最高65万円(注1)(注2)の控除が認められます。
(注1)
事業的規模でない場合は、最高10万円となります。
(注2)
電子申告又は電子帳簿保存を行うことが前提です。これらを行わない場合は、最高55万円の控除となります。

事業的規模とは?

  • 社会通念上事業と称するに至る程度の規模で建物の貸付けを行っている場合
  • 貸間、アパート等については、室数がおおむね10以上である場合
  • 独立家屋の貸付けについては、おおむね5棟以上である場合
(注)
土地は上記②③の建物の基準を参考として判定(おおむね5件を1室として判定)。

コラム賃貸住宅とマイホームの特例

本ガイドに掲載の住まいに関する各特例は、主に自己の居住用家屋(マイホーム)の取得等を適用対象とするものですが、次の特例については賃貸住宅やその敷地の取得等であっても適用が受けられます。

特例 参照ページ 備考
不動産取得税
(住宅土地の軽減税率、住宅の課税標準の控除、宅地等の課税標準の軽減、住宅の敷地の税額軽減)
不動産取得税 住宅の課税標準を1戸当たり1,200万円控除(床面積要件は40m²以上に緩和)
登録免許税
(所有権の移転登記の軽減税率)
登録免許税 土地売買 : 本則2.0% ➡ 軽減1.5%
固定資産税・都市計画税
(住宅用地に係る課税標準の軽減)
固定資産税 敷地のうち、〔200m²×戸数〕の部分が小規模住宅用地として軽減
固定資産税
(新築住宅の減額)
固定資産税 各戸の固定資産税を減額(基準住居部分の床面積要件の下限を40m²以上に緩和)
印紙税
(建設工事の請負契約書等の軽減)
印紙税 賃貸住宅も同様に軽減(家屋要件なし)

また、賃貸併用住宅などの場合は、建物全体の床面積のうち、自宅部分を2分の1以上とすることや、賃貸部分を区分所有登記することで、自宅部分について、住宅ローン控除や住宅取得資金贈与の非課税特例などの適用を受けられる場合もあります。

(注)
サービス付き高齢者向け住宅の特例はサービス付き高齢者向け住宅の特例参照。

減価償却費の計算方法

建物やそれに附属する設備、構築物などは減価償却資産となり、取得に要した金額は、一定の償却方法とその資産に応じた耐用年数により、各年分の必要経費に計上します。なお、土地は減価償却資産ではありません。
償却方法には定額法と定率法があり、資産の種類・取得時期に応じて、次のようになります。耐用年数は資産の種類ごとに定められており、計算に用いる償却率は償却方法により異なります(主な減価償却資産の耐用年数・償却率参照)。

  • 定額法

    次の算式により、耐用年数の期間内において、原則として毎年同じ額を均等に減価償却します。

    取得価額 × 償却率 各年の減価償却費

    定率法

    次の算式により、耐用年数の期間内において、原則として毎年同じ率で減価償却します。取得してから初めの方の年は、定額法より減価償却費が多くなりますが、年々減少していきます。

    取得価額
    (2年目以降は未償却残高)
    × 償却率 各年の減価償却費
    (注)
    この算式による減価償却費が「償却保証額」に満たなくなった年分以後は、毎年同じ額の均等償却に切り替わります。
譲渡資産と買替資産の組み合わせ 譲渡資産と買替資産の組み合わせ
  • 旧定額法

    次の算式により、耐用年数の期間内において、原則として毎年同じ額を均等に減価償却します。

    取得価額 × 0.9 × 償却率 各年の減価償却費

    旧定率法

    次の算式により、耐用年数の期間内において、原則として毎年同じ率で減価償却します。取得してから初めの方の年は、旧定額法より減価償却費が多くなりますが、年々減少していきます。

    取得価額
    (2年目以降は未償却残高)
    × 償却率 各年の減価償却費
(注1)
年の途中に取得等をした場合は、各年の減価償却費に〔事業に使用した月数÷12〕を乗じて減価償却費を計算します。
(注2)
旧定額法・旧定率法において、減価償却費の累積額が取得価額の95%に達した年分の翌年分以後は、〔取得価額-取得価額×95%-1円〕の額を5年間で均等償却します。

主な減価償却資産の耐用年数・償却率

種類 構造・用途・細目 耐用年数 償却率
定額法 定率法 旧定額法 旧定率法
H19.4.1~ H24.4.1~ H19.4.1~ ~H19.3.31
建物(住宅用) 金属造 4mm超 34年 0.030 0.059 0.074 0.030 0.066
金属造 3mm超4mm以下 27年 0.038 0.074 0.093 0.037 0.082
金属造 3mm以下 19年 0.053 0.105 0.132 0.052 0.114
鉄骨鉄筋コンクリート造
鉄筋コンクリート造
47年 0.022 0.043 0.053 0.022 0.048
木造・合成樹脂造 22年 0.046 0.091 0.114 0.046 0.099
木骨モルタル造 20年 0.050 0.100 0.125 0.050 0.109
れんが造・石造・ブロック造 38年 0.027 0.053 0.066 0.027 0.059
建物(店舗用) 金属造 4mm超 34年 0.030 0.059 0.074 0.030 0.066
金属造 3mm超4mm以下 27年 0.038 0.074 0.093 0.037 0.082
金属造 3mm以下 19年 0.053 0.105 0.132 0.052 0.114
鉄骨鉄筋コンクリート造
鉄筋コンクリート造
39年 0.026 0.051 0.064 0.026 0.057
木造・合成樹脂造 22年 0.046 0.091 0.114 0.046 0.099
木骨モルタル造 20年 0.050 0.100 0.125 0.050 0.109
れんが造・石造・ブロック造 38年 0.027 0.053 0.066 0.027 0.059
建物(事務所用) 金属造 4mm超 38年 0.027 0.053 0.066 0.027 0.059
金属造 3mm超4mm以下 30年 0.034 0.067 0.083 0.034 0.074
金属造 3mm以下 22年 0.046 0.091 0.114 0.046 0.099
鉄骨鉄筋コンクリート造
鉄筋コンクリート造
50年 0.020 0.040 0.050 0.020 0.045
木造・合成樹脂造 24年 0.042 0.083 0.104 0.042 0.092
木骨モルタル造 22年 0.046 0.091 0.114 0.046 0.099
れんが造・石造・ブロック造 41年 0.025 0.049 0.061 0.025 0.055
建物附属設備 電気設備(照明設備を含む)
蓄電池電源設備 6年 0.167 0.333 0.417 0.166 0.319
その他のもの 15年 0.067 0.133 0.167 0.066 0.142
給排水・衛生設備、ガス設備 15年 0.067 0.133 0.167 0.066 0.142
冷房、暖房、通風又はボイラー設備
冷暖房設備 13年 0.077 0.154 0.192 0.076 0.162
その他のもの 15年 0.067 0.133 0.167 0.066 0.142
昇降機設備
エレベータ― 17年 0.059 0.118 0.147 0.058 0.127
エスカレーター 15年 0.067 0.133 0.167 0.066 0.142
消火、排煙又は災害報知設備及び格納式避難設備 8年 0.125 0.250 0.313 0.125 0.250
エヤーカーテン又はドアー自動開閉設備 12年 0.084 0.167 0.208 0.083 0.175
アーケード又は日よけ設備
主として金属製のもの 15年 0.067 0.133 0.167 0.066 0.142
その他のもの 8年 0.125 0.250 0.313 0.125 0.250
店用簡易装備 3年 0.334 0.667 0.833 0.333 0.536
構築物 緑化施設及び庭園(工場緑化施設を除く) 20年 0.050 0.100 0.125 0.050 0.109
舗装道路及び舗装路面
コンクリート敷、ブロック敷、れんが敷、石敷 15年 0.067 0.133 0.167 0.066 0.142
アスファルト敷、木れんが敷 10年 0.100 0.200 0.250 0.100 0.206
ビチューマルス敷 3年 0.334 0.667 0.833 0.333 0.536
〔参考〕
自家発電設備として使用されている太陽光発電設備の耐用年数は17年となります。

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このガイドについて

このガイドは、株式会社 清文社の「令和2年版 土地建物の税金ガイド」を元に作成しており、内容は令和2年5月1日現在の法令等にもとづいております。年度途中に新税制が成立したり、税制等が変更になったり、通達により詳細が決まったりするケースがありますのでご了承ください。
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