相続等による土地建物の取得日・取得費
- 相続又は贈与によって取得した資産の取得日・取得費はどうなりますか?
- 相続等によって取得した土地建物の取得日・取得費は、原則として、被相続人等の取得日・取得費が引き継がれます。ただし、例外として次に掲げる場合は、相続等のあった日を取得日とし、時価で資産の譲渡があったものとして(みなし譲渡課税)、その資産の時価を収入金額に計上することとされています。
- 限定承認での相続
- 法人に対する遺贈及び個人に対する包括遺贈で限定承認されたもの
- 法人に対する贈与
- 法人に対する時価の50%未満の価額で譲渡されたもの(低額譲渡)
権利金の課税
- 借地権を設定したときの権利金は、譲渡所得になりますか?
- 所有土地に借地権や地役権を設定した場合に、その対価として受け取った権利金等の額が、その土地の時価の50%(注)を超えるときは、その所得は原則として譲渡所得として課税されます。なお、50%以下の場合は不動産所得となります。
- (注)
- その設定が地下又は空間について上下の範囲を定めたものの場合は25%。
土地と建物を一括購入した場合
- 土地建物を一括購入したときは、その金額をどのように分割するのでしょうか?
- 分譲マンションや建売住宅の購入などで土地建物を一括取得した場合に、契約書等でそれぞれの対価が明らかでないときは、原則として、建物にかかった消費税額から逆算して金額を区分します。
なお、建物の消費税額も不明な場合については、「建物の標準的な建築価額表」(注)を目安として建物の取得価額を算定する方法も認められています。- (注)
- 国税庁資料「譲渡所得の申告のしかた」(国税庁ホームページで入手可能)に掲載されています。
非居住者から日本国内の不動産を購入した場合の源泉徴収
- 1年以上海外赴任をしている人(非居住者)から日本国内の不動産を購入した場合、その対価を支払う際に源泉徴収が必要だと聞きましたが、本当ですか。
- 非居住者や外国法人から日本国内の不動産を購入して、その対価を国内で支払う場合、10.21%の税率で、所得税等を源泉徴収しなければなりません。ただし、個人が自己等の居住用に購入した場合で、その不動産の譲渡対価が1億円以下であるときは、源泉徴収は不要です。
- (注)
- 非居住者等から日本国内の不動産を賃借した場合、20.42%を源泉徴収(自己等の居住用に賃借した場合は源泉徴収不要)。
コラム近年大きく変わる民法等と不動産
平成29年5月の民法(債権法)の改正を皮切りに、近年、民法や不動産登記法などが大きく改正されています。税制改正とともに民法等の改正にも注意しましょう。
主な改正項目 | 施行日(一部を除く) | |
---|---|---|
民法(債権法)の改正 | 消滅時効に関する見直し | 令和2年4月1日 |
法定利率に関する見直し | ||
保証に関する見直し | ||
債権譲渡に関する見直し | ||
約款(定型約款)に関する規定の新設 | ||
賃貸借に関する見直し | ||
民法(相続法)の改正 | 自筆証書遺言の方式緩和 | 平成31年1月13日 |
婚姻期間が20年以上の夫婦間における居住用不動産の贈与等に関する優遇措置 | 令和元年7月1日 | |
預貯金の払戻し制度の創設 | ||
遺留分制度の見直し | ||
特別の寄与の制度の創設 | ||
配偶者居住権の創設 | 令和2年4月1日 | |
法務局における遺言書の保管等に関する法律の創設 | 法務局における自筆証書遺言の保管制度の創設 | 令和2年7月10日 |
民法(成年年齢関係)の改正 | 成年年齢の引下げ | 令和4年4月1日 |
民法の改正 (所有者不明土地等関係) の改正 |
相隣関係の見直し | 令和5年4月1日 |
共有の見直し | ||
財産管理制度の見直し | ||
相続制度(遺産分割)の見直し | ||
相続土地国庫帰属制度 (土地を手放すための制度) の創設 |
- | 令和5年4月27日 |
不動産登記法 (所有者不明土地等関係) の改正 |
相続登記の未了への対応 | 令和6年4月1日 |
住所変更登記等の未了への対応 | 改正法公布 (令和3年4月28日) 後5年以内 |
|
その他不動産登記の公示機能をより高める観点等からの改正 | 令和5年4月1日 |
このガイドについて
このガイドは、株式会社 清文社の「2023年版 土地建物の税金ガイド」を元に作成しており、内容は2023年(令和5年)4月1日現在の法令等にもとづいております。年度途中に新税制が成立したり、税制等が変更になったり、通達により詳細が決まったりするケースがありますのでご了承ください。
税金は複雑な問題もありますので、ケースによっては、税理士など専門家にご相談ください。
(注)本サイトの計算例は、原則、例示取引にかかる税額を便宜的に計算しており、必ずしも最終的な納付税額ではないことから端数処理を考慮していない場合があります。
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監修:新谷達也、塚本和美 企画・制作:清文社 |
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