相続税・贈与税ガイド

8. 贈与税とは

相続税は、遺産に対して課税される税金ですが、贈与税は、生前に贈与を受けたときに課税される税金です。
贈与税は、相続税逃れを防ぐための税金という側面をもっていて、相続税と同じく相続税法で規定されています。
贈与税の基礎控除は、年間110万円です。申告は、贈与を受けた翌年2月1日から3月15日までに行い、その期間内に納税します(一部延納も可)。マイホームを建築・購入する際、「住宅資金贈与特例」が設けられています。また、平成15年に創設された贈与税の「相続時精算課税」制度は、当面の贈与税の非課税枠を大きくして、生前の贈与税を軽くするものですが、相続時にこれらの財産が相続財産とみなされて課税される仕組みとなっています。

贈与税の課税対象は、現金・預金、有価証券、土地・建物などの財産の贈与のほか、債務の免除や著しく低い価額での譲渡まで、その範囲は広くなっています。しかし、親子などの扶養義務者間での生活費や教育費のための贈与は、当然、非課税です。なお、会社など法人からの贈与は、贈与税の対象にならず、所得税の一時所得のほうの課税となります。
贈与を受けた土地・建物などの評価は、原則的には相続税の評価額と同様です。

相続前3年以内の贈与

相続税と贈与税の課税の領域は、ふつう生前の贈与は贈与税、相続による取得が相続税といわれていますが、厳密には、次のように課税区分されます。

1. 相続開始の年の贈与

相続で財産を取得した人は、相続税の対象となる。なお、相続で財産を取得しなかった人は、通常の贈与税の対象。

2. 相続開始前3年以内の贈与

相続で財産を取得した人は、この期間の贈与財産を相続財産に加算して相続税を計算する(すでに支払った贈与税は、相続税から控除できる)。なお、相続で財産を取得しなかった人は、贈与財産を加算する必要がないので、相続税の申告は必要なし。

相続開始前3年以内に受けた贈与財産はどうなる

相続開始前3年以内に受けた贈与財産はどうなる
  • ※贈与税の配偶者控除「2,000万円の特例」(10.贈与税の特例の活用法「2.配偶者控除2,000万円の活用」 参照)を受けた分については、配偶者控除(2,000万円)を限度として上記の全ての加算から除外されます。同様に「住宅資金贈与特例」(10.贈与税の特例の活用法「3.住宅資金贈与特例の活用」 参照)も700万円、条件により1,200万円(平成31年10月1日より消費税が10%にアップした場合、平成31年4月1日から平成32年3月31日までの住宅資金の贈与額はそれぞれ、2,500万円・3,000万円となります。)を限度として上記の全ての加算から除外されます。また、お孫さん(相続人になる孫は除く)への贈与であれば、相続財産を取得しない限り、相続財産には加算されません。なお、教育資金の一括贈与も、通常は相続財産には加算されません。結婚・子育て資金の一括贈与については親や祖父母などの死亡時に残額がある場合のみ、相続財産に加算されます。

贈与税の「相続時精算課税」制度を選択した贈与財産の加算

「相続時精算課税」制度を選択した場合に、その親などが死亡した時点で、その制度を選択した以後に受けた贈与財産はすべて、無条件で相続財産に加算されますので注意が必要です。

「相続時精算課税」制度の適用を受けた贈与財産はどうなる

「相続時精算課税」制度の適用を受けた贈与財産はどうなる

このように生前贈与を受けた場合には、平成15年1月1日以後、従来の通常の贈与税を選択したケースと「相続時精算課税」制度を選択したケースとでは、相続時に加算される贈与財産の範囲が違ってきますので、慎重に対応しなければなりません。この場合の贈与財産の加算は、どちらの場合も贈与時点での評価額になります。

このガイドについて

このガイドは平成30年4月1日現在の法令にもとづいて作成したものです。年度途中に新税制が成立したり、税制等が変更になったり、通達により詳細が決まったりするケースがありますのでご了承ください。
平成25年分から所得税のほかに復興特別所得税が所得税額の2.1%課税されますが、計算の都合上これを除外している場合があります。
平成31年10月1日より消費税が10%にアップされる予定ですが、経済情勢などにより延期される可能性があります。
相続税・贈与税には複雑な問題もありますので、ケースによっては、税理士・弁護士など専門家にご相談ください。

執筆・監修 

税理士/中村 節弥

 

税理士/大田 貴広

編集・制作

/株式会社サンビー企画

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