プロが教える!あなたの相続対策

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第4回 生前贈与の上手な活用法

公開日:2016/12/19

相続対策の中でも即効性のある対策のひとつといえるのが、生前贈与です。特に近年は、生前贈与を検討している人にとって有効な制度がいろいろあります。どのような制度があるのか、その活用ポイントとともにご紹介します。

相談者

住宅購入を検討している男性

子どもが来春から小学校に入学するので、その前に住宅購入を考えています。毎月のローン返済がかなり負担になってくるため、父が心配して「贈与をしてあげようか?」と言ってくれています。しかし、贈与税は高額だと聞いたことがあるので不安に思っています。

  • 相談者:夫 39歳 男性 会社員
  • 家族構成:妻・長男・長女(父・母とは別居)
  • 贈与者:父
  • 贈与予定額:1,000万円
今回のポイント
  • 生前贈与は、資産をより有効に活用できる相続対策として近年注目が高まっています。
  • 住宅取得資金の贈与には非課税制度があります。制度の適用条件について調べたうえで積極的に活用しましょう。

贈与税がかかるケースとは?

相談者

子どもが来春から小学校に入学するので、その前に住宅購入を考えています。両親が資金援助を申し出てくれているのですが、贈与税は高額だと聞いたことがあるので不安に思っています。贈与税の仕組みについて教えてください。

玉置千裕

贈与税とは、個人から財産を贈与されたときに課税される税金です。1月1日~12月31日に贈与された財産の合計から、基礎控除額である110万円を差し引いた残りの金額に対して課税されます。

贈与税は「累進課税」であるため、贈与の金額が多くなるにつれて10%~55%まで税率が上がっていきます(贈与額に応じた控除額があります)。なお、両親や祖父母といった直系尊属から、その年の1月1日において20歳以上の方(子や孫など)へ贈与された財産(特例贈与財産)と、それ以外の人から贈与された財産(一般贈与財産)でも、贈与額に応じた税率の構造が異なります。

ご相談者さまのケースのようにお父さまから贈与を受ける場合、金額が110万円を超えているので原則的に贈与税が課税されることになりますが、特例贈与財産として扱われますので、税率は優遇されます。

基礎控除後の課税価格

贈与税額=(贈与額-基礎控除110万円)×税率ー控除額

贈与税には様々な非課税制度がある

相談者

やはり贈与税がかかるのですね。非課税制度などはないのでしょうか。

玉置千裕
家系図

基礎控除額である110万円を超えた分の贈与については贈与税が課税されるのが原則ですが、実は、贈与税には様々な非課税制度が設けられています。したがって、資金の用途によっては非課税で贈与を受けることも可能です。

例えば、祖父母などが30歳未満の孫に対して、金融機関と一定の契約を締結し、教育資金専用の口座への信託や預入を通じて教育資金の一括贈与をした場合には、最大で1,500万円まで贈与税が非課税になります。また、平成27年4月1日からは、結婚・子育て資金の一括贈与についても同様に、金融機関と一定の契約を締結し、専用の口座を経由することによって、1,000万円まで非課税で贈与することが可能になっています。

こうした非課税特例には、贈与をする人・される人をはじめ、使用目的や上限金額、贈与の方法など細かな適用条件がありますが、本来の税率が高いだけに非課税メリットも大きいといえます。

住宅取得資金の贈与

相談者

住宅購入についても、こうした非課税制度があるのでしょうか。

玉置千裕

はい。ご相談者さまのケースのように、住宅購入のためにご両親から贈与を受ける場合には、一定の要件を満たせば住宅取得等資金の贈与税の非課税制度が活用できます。非課税限度額は契約の締結日によっても異なりますが、平成28年1月1日から平成32年3月31日までの契約締結であれば、一般の住宅で700万円、高品質住宅(一定の省エネ性、耐震性、バリアフリー性のいずれか一つを備えた住宅)の場合には1,200万円までが非課税になります。

ご両親から1,000万円の贈与を受け、高品質住宅として認められる住宅を購入した場合には、非課税枠の範囲内に収まりますので、非課税での贈与が可能です。また、相続時精算課税制度を活用すれば、最高で2,500万円までの特別控除が受けられます。

どちらを活用するかは、ご両親の資産全体の状況から総合的に判断する必要があり、相続時精算課税制度については、改めて第6回で詳しくご紹介します。

住宅取得等資金の贈与税の非課税枠

※消費税が10%となった場合、金額が変更になります。

生前贈与のメリットとは

相談者

両親が老後の生活資金として築いてきた財産を贈与してもらうことに申し訳なさも感じているのですが、父にとっても生前贈与をすることのメリットはあるのでしょうか。

玉置千裕

こうした贈与税の非課税制度を活用して生前贈与を行うことは、一般的には将来相続が発生したときに課税されるはずだった相続税の軽減につながります。

贈与者にとっても、自分が健在なうちに財産の一部を子世代や孫世代に贈与し、それが活用されるのを見届けられることは、大きな安心や喜びにつながるのではないでしょうか。

また、これまでにも紹介したように、相続はともすると“争続”となりがちですが、自分が亡くなってからではこれを止めることができません。しかし、生前に「誰に」「いくら」の財産を渡したいのかを明確にし、贈与ができれば、家族間でのトラブルを避けることにもつながります。

最近では、生前贈与をスムーズに行うための信託商品なども登場しています。こうした商品を通じて生前贈与を進めていくと、贈与の記録が残るだけでなく、面倒な手続きも不要なので、活用してみるのもおすすめです。

次回は、贈与税の非課税制度を活用して教育資金を一括贈与するための方法とポイントについてご紹介します。


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回答者紹介

  • 玉置千裕
    執筆・監修:
    三菱UFJ信託銀行玉置 千裕(たまき かずひろ)
    経歴:
    1級ファイナンシャル・プランニング技能士、宅地建物取引士。
    三菱UFJ信託銀行の営業店で資産運用・不動産・ローン・相続などの相談業務に従事。現在は、その経験を活かして新聞・雑誌などでも活動している。
本コンテンツの内容について
公開日時点の法令に基づき、相続の基本的な仕組みを説明しています。個別の事例によっては、所定の要件を欠く場合がありますので、専門家にご確認ください。

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