プロが教える!あなたの相続対策

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第2回 遺言書を作成することで“争続”を回避

公開日:2016/10/24

相続は俗に“争続”とも言われます。生前は円満な家族関係であったにもかかわらず、相続を機に歯車が狂い、揉め事に発展するケースはめずらしくありません。そういった事態にならないように準備しておきたいのが“遺言書”です。

相談者

奥様を亡くされた男性

長年、会社を営んできましたが、そろそろリタイアし、長男に引き継ぐことを考えています。次男は転職を繰り返し、いまだに独身で先行きを不安に感じています。2人によい形で財産を相続するにはどうすればよいでしょうか。

  • 相談者:67歳 男性 会社経営
  • 法定相続人:長男・二男
  • 家族構成:長男夫婦と同居
  • 相続財産:事務所兼自宅(東京都三鷹市)、現金・株券:7,300万円
今回のポイント
  • 現在は家族関係が円満であっても、相続によってバランスが崩れ、互いに禍根が残ったり、争いごとへと発展したりするケースはめずらしくありません。
  • 元気なうちに遺言書を作成し、意思表示をしておくことが“争続”を防ぐことにつながります。

法定相続分どおりに相続しないなら遺言書の作成を

相談者

3年前に妻を病気で亡くしたので、2人の息子が法定相続人になります。今、長男夫婦と住んでいる事務所兼自宅をそのまま長男に相続させるにはどうすればよいのでしょうか。

玉置千裕

2人の息子さんが法定相続人の場合、法定相続分は、それぞれ2分の1ずつになります。相続財産は東京都三鷹市の事務所兼自宅と7,300万円の金融資産とのこと。不動産の価格がわかりませんが、ご長男に事務所兼自宅を相続するとなった場合、少なくともそれと同じ金額分の金融資産をご次男に相続することが基本となります。

不動産の価格が金融資産の7,300万円を下回っている場合はまだよいのですが、それを上回っていたときは、相続財産を平等に分けることが物理的に難しくなります。場合によっては不動産を共有名義で登記せねばならず、ご長男が事務所兼自宅を相続するということが実現できないかもしれません。

また、転職を繰り返しているご二男の先行きを心配されているということ。あまり多額の金融資産を相続させることを避けたいというお気持ちもあるかもしれません。

こうした不安を解決するために有効なのが遺言書です。遺言書を通じて意思表示をすれば、法定相続分とは異なる割合で相続を行うことができます。

遺言書には大きく3種類ある

相談者

つまり、遺言書を書けば、法定相続分にとらわれずに自由に相続割合を決められるということですね。

玉置千裕

そうですね。ただし、遺言書を書きさえすればどんな内容でも有効になるというわけではありません。

遺言書ではある程度、自由に誰に何をいくら相続するかを指定することができますが、「遺留分」として、最低でも一定の割合については法定相続人が相続できるように民法で定められています。

また、遺言書の形式や書き方によって、法的な効力を持つ場合と持たない場合がありますので注意が必要です。

遺言書には大きく「自筆証書遺言」「公正証書遺言」「秘密証書遺言」の3つの種類があります。

「自筆証書遺言」は、自分で書く遺言書のこと。紙と筆記用具さえあれば作成することができ、特別な費用もかからないのでもっとも手軽です。また、内容はもちろん、遺言書の存在そのものも内緒にできるのが自筆証書遺言の特徴です。

「公正証書遺言」は、公証役場で公証人に作成してもらう遺言書のことです。法律のプロである公証人が作成に立ち会い、2名以上が証人になりますので、いざ相続が発生したあとに「遺言書の内容が法律的に無効だった」といった事態を避けることができるのがメリットです。ただし、公証役場に支払う手数料がかかることや気軽に書き直せないことなど面倒な側面もあります。

「秘密証書遺言」は、遺言書の内容は秘密にしたまま、遺言書そのものが存在していることのみ、公証人と2名以上の証人に証明しておいてもらう遺言書です。

法定相続人の法定相続分と遺留分

目的に合った遺言書を選ぼう

相談者

なるほど。遺言書といっても色々な種類があるのですね。私の場合、そこまで複雑な内容ではないので、手軽に自筆証書遺言を作成するのがいいのかなと思います。

玉置千裕

どの遺言書にもそれぞれメリットとデメリットがあります。自筆証書遺言の場合、手軽に作成でき、費用もかからないのがメリットですが、反面、民法に定められた要件を満たさないと遺言書としての効力を持ちません。

例えば、自筆証書遺言は文字通り、“自筆”で書く必要があるため、パソコンやワープロを使って書くと無効になってしまいます。また、作成の年月日についても明確に記載しなければなりません。うっかり「◯年◯月吉日」などと記載してしまうと効力がなくなってしまいます。

また、相続発生後に「検認」が必要なことにも留意しておきましょう。検認とは、被相続人が亡くなったあとに、遺言書の内容が勝手に書き換えられたり、追記されたりすることのないよう、家庭裁判所に遺言書を提出して、検認の日現在における遺言書の内容を明確にする手続きのことです。なお、封印のある遺言書は、家庭裁判所で相続人等の立会いの上、開封しなければなりません。検認を行わずに開封した場合、遺言書の内容に基づいて不動産の名義変更をしようにも法務局に受け付けてもらえない可能性があります。

“争続”を避けるための選択肢

相談者

なるほど。単に遺言書を作成すればよい、ということではないのですね。

玉置千裕

遺言書を作成する目的にもよるかもしれません。生前に意思表示をしておきたい、ということであればどんな形式にせよ、遺言書を作成しておくことには大きな意味があります。一方、そこに法的な効力を持たせるためには、遺留分への配慮、記載にあたっての要件、開封の方法まで、様々なことに気を配る必要があります。

ですから、遺言書を作成する際には、その目的をしっかりと考えることから始めましょう。それによって最適な方法が見えてくるはずです。

あらかじめ意思を家族と共有しておくことで“争続”を避けたいというのであれば、相続型信託を活用するという方法もあります。

三菱UFJ信託銀行の相続型信託「ずっと安心信託」は、200万円以上3,000万円以下の財産を預けておくと、相続発生時にご家族それぞれが指定された金額を受け取れるという仕組みの商品です。あらかじめ金額を指定しておけるので、あとから揉め事に発展するという事態を避けることができ、相続時の手続きも簡単です。

また、ご二男の先行きも不安視されていましたが、相続型信託であれば、一時金ではなく、定時定額で計画的に受け取ることも可能です。こうした柔軟性も魅力のひとつといえるかもしれません。ぜひ、選択肢を広げたうえで最適な方法を選んでいただければと思います。

次回は、相続対策として生命保険を有効活用する方法についてわかりやすくご紹介します。

相続型信託「ずっと安心信託」3つのプラン

回答者紹介

  • 玉置千裕
    執筆・監修:
    三菱UFJ信託銀行玉置 千裕(たまき かずひろ)
    経歴:
    1級ファイナンシャル・プランニング技能士、宅地建物取引士。
    三菱UFJ信託銀行の営業店で資産運用・不動産・ローン・相続などの相談業務に従事。現在は、その経験を活かして新聞・雑誌などでも活動している。
本コンテンツの内容について
公開日時点の法令に基づき、相続の基本的な仕組みを説明しています。個別の事例によっては、所定の要件を欠く場合がありますので、専門家にご確認ください。

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