世界の都市総合力ランキング、東京が調査開始以来初の3位/森記念財団調査

(一財)森記念財団 都市戦略研究所は18日、「世界の都市総合力ランキング(Global Power City Index)2016」を発表した。今回が9回目。

同ランキングは、世界を代表する主要42都市を選定し、都市の力を表す6分野(「経済」「研究・開発」「文化・交流」「居住」「環境」「交通・アクセス」)における70の指標に基づき、1,600点満点で評価。また、併せて各分野で経営者、研究者など 5つの「グローバルアクター」の評価結果をもとにしたランキングも公表している。

16年の総合ランキングのトップはロンドン(16年のスコア1,511.5、前年比8.3ポイントダウン)に。次いでニューヨーク(同1,384.7、同0.6ポイントアップ)と5年連続、順位に変動なし。ロンドンは、GDP成長率の低下等「経済」スコアが低下したものの、依然として「文化・交流」のスコアが突出している影響で、ニューヨークを大きく引き離した。
3位は東京(同1,338.5、同48.1ポイントアップ)。08年の調査開始以来3位だったパリ(同1,289.7、同18.2ポイントダウン)を初めて抜いた。東京が大きくスコアを伸ばした要因としては、海外からの訪問者数の増加(「文化・交流」)、円安などによる米ドルベースでの物価水準や住宅平均賃料の下落(「居住」)、羽田空港の国際化(「交通・アクセス」)などがあげられる。

東京の都市力について分野別でみると、「経済」において依然トップだが、他都市の台頭などで多くの分野で指標を落とした。「研究・開発」は2位で、研究者の交流機会等、課題とされていた項目でスコアを上げたが、研究集積等で大きく落とした項目もあった。「文化・交流」は5位でほとんどの指標でスコアを大きく伸ばした。「居住」においても総労働時間などでスコアを大きく伸ばし、昨年の15位から6位にランクアップした。一方で、「環境」や「交通・アクセス」は、10位以下とさまざまな課題が目立った。
また、アクター別では、法人税率の引き下げや円安などの影響で「経営者」におけるランキングがニューヨークを上回り7位に。しかし、ビジネスの成長性や容易性におけるスコアの低さが依然目立ち、アジアの中ではシンガポール(2位)や香港(3位)、上海(4位)に劣る結果となった。

同日会見した同研究所所長の竹中平蔵氏は、「東京の可能性を感じさせる結果となった一方で、文化・交流や交通・アクセスなどの課題も浮き彫りになった。当初より挙がっていた法人税率などの課題は少しずつ改善はされているものの、大幅な改革が起きているわけではない。規制改革が進めば1位も十分可能だ。当結果を政策面にも反映できるように進言していきたい」と述べた。


(一財)森記念財団 都市戦略研究所

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